「怪我してないですか?」

「フッ、大丈夫〜そんなやわじゃないから!」

「そうですか。ちょっとすみません」

そう言って、瑞季さんが必要としてたコップが数個入った袋だけ彼女に渡してから、

落ちた段ボールを元の場所に戻す。

「ごめんね、仕事増やしちゃって」

「別に……」

瑞季さんとふたりでいられるのなら、仕事がどれだけ増えたって構わない。

面倒なことが大嫌いな俺に、ここまで思わせるんだから、罪な女だと思う。

「ありがとう。じゃあこれだけ置いて帰るか!」

「はい……」

もう今日が終わってしまう。

また、今日が進展のなかった『昨日』になる。

瑞季さん、どうすれば、俺を見てくれるんですか?

ドアに手をかけた瞬間、足が止まった。

頭がボーッとする。

「若葉くん?」

背中に瑞季さんの温もり感じながら。

バチッ

ドアの横にある電気のスイッチを押した。