「瑞季さん、ああいうやつが好みですか」

「好み?……あー、人懐っこくて可愛いよね。若葉くんが珠貴くんと友達になるのわかる。私も好きだよ!あれだけコミュ力高いと学校でもモテるんだろうなぁ」

「へーーーー」

好きなんだって。
無理。

そして、決して友達ではねえ。
あんなチャランポラン。

けど、それを否定する気力もなくなるぐらい、シンプルにショックを受けている。

好きなんだ。へー。

人懐っこくて誰にでも可愛いなんていう男がいいんだ。瑞季さんは。

「……ん?なに、若葉くん。あ、もしかしてヤキモチー?フフッ」

そういたずらっぽく俺の顔を覗き込んできた瑞季さんが憎い。

不意打ちでそんな可愛い顔見せないでよ。

「……はい??全然」

プイッと目をそらす。

「う、そんな怒んなくても。冗談だよ。可愛くないぞーー」

瑞季さんがそういうと、すぐお客さんが入ってきて、彼女はレジの方へと行ってしまった。

……最悪、俺。

からかわれた?
嫌われた?

可愛くないことはわかっている。

俺は珠貴みたいにはなれない。

あんな風になんでもかんでもまっすぐ伝えるなんて。