「あの...」顔が凄く熱い!絶対私は今鮭(さけ)の切り身並に赤いだろう...
「何?」レティはイタズラっぽい笑みを顔から消すことはなくニヤっとしながら聞き返す。
恥ずかしい...!周りの全ての視線に心を読まれてる気分です!睨まないで!見ないでっ!
「は、早く実験準備室行きましょう!」無理やり笑顔を作ってそう言う私にレティは「医務室(いむしつ)が先じゃあないかな?顔が真っ赤だよ?熱いし。」と言って左手を私の頬に添える。
この...!誰のせいだとっ!からかうのも大概(たいがい)にしてくれえ!ニヤニヤしよってぇ!原作じゃあそのイタズラ心を好きになったんだけどね!?やられる側としてはハラハラするよ!
「お気遣(きづか)いありがとうございます...でも先輩のお時間をこれ以上無駄(むだ)には出来ませんので!!さあ!早く準備室に行きましょう!案内しますからぁ!」早口でそう言ってスタスタとレティが頬に触れていた手を掴み歩き始める。
推しと手繋いでるっ...!!(繋いでない)
「ククッ...」後ろからレティがクスッと吹いている。
人の心読んで笑ってんじゃねぇぇ!悔しい...
「悔しいなら言い返せばいいのにっ、フフッ...」
私が言い返さない理由はレティが最上級生だからだ。
この学校には上と下で別れる。
最上級生、上級生、中級生、下級生、最下級生。
そしてルールがあるのだ
上の者には反抗ないこと。言う事を聞くこと。この学園は実力主義である。などなどと色々あるが...1番はローマウス家は王族なのである...つまりレティは王子。誰が王族に言い返せるか!とするとレティが掴まれた手を自分の方にぐいっと寄せる。「へっ!?何何!?」レティはクスクス
笑いながら顔を近づけて小声で囁く。
「ププ...心の中で散々嫌だとか関わりたくないとか言ってるのになぁ?それは不問なの?」あ、確かに。「それはっ...ご、ごめんなさいっ!!!」頭を真っ逆さまになるほど腰を折るとレティの顔はジワジワと歪んで、「プッ...アッハハ!傑作!」と爆笑。「へあ?」
「別にそんな事で怒るわけないのにさぁ?そんな必死に謝って...フフ...」「えっ!?許してくれるんですか!?ありがとうございますっ!」怒ってるのかと思った...そしてクスクスと笑うレティを見て推しは笑うと尊い事を再確認したアリー・カリスであった。