あぁ、やってしまったーーやけにふかふかなベッド、枕の匂い、隣で眠る男性の体つき。全てがいつもと違っていることで、昨夜のことを思い出した。

 普段は真面目に仕事に打ち込んでるし、付き合ったのは二人だけ。浮気はされてもしたことはないし、いきなりベッドインなんてしたことないもの。

 飲み過ぎだわけじゃなくて、ちゃんと自分の意思でこうなったことはわかってる。だってあまりにも意気投合しちゃったから。

 とりあえずゆっくりと起き上がってみる。衣類は何も身につけていないけど、床に乱雑に散らばっているのが目に入った。

 そうね、確かに玄関のドアが開いたくらいからスイッチが入った。誰にも見られない場所に入ったことで、ずっと我慢していた感情が爆発してしまったのだ。

 それは元カレへの不満が作り上げた欲求不満という爆弾で、隣で眠っている彼がその爆弾を発射場所へと運び、導火線に火をつけたのだ。おかげで不満爆弾という一つの荷物を排除することが出来、心も体もスッキリしていた。

 爆弾後の記憶を辿っていけば、恥ずかしくなるくらい互いを激しく求め合った。初対面の彼とこんなに熱い夜を過ごしたのに、元カレはこんなふう求めてはくれなかった……。

 ため息をつきながら、隣で眠る男性の髪を撫でた。彼が誰なのかはわかってる。お互いのことを深く知りもしないのにここまで盛り上がれたのなら、私たちの相性はかなりいいのかもしれない。

 さて、私たちに"これから"はあるのかしら。