カーテンの隙間から、白い粒が空から流れていくのが見えた。私は急いでカーテンを閉め、外が見えないようにした。
 雪の日は嫌いになった。だんだんと、思い出したくない気持ちが蘇ってくる。滅多に降らないのに、もう降らなくていいのに、降ってしまうのはなぜなのだろう。
 時計の針が、カチッ、カチッと静寂に響いている。私は今、独りなのだ。あの温もりは、もう何処にもない。独りでいることより、彼と付き合っていないという現実のほうが、私は辛かった。