二人の剣が鳴り響き、相手の男の力に負けてカトリーヌの剣が徐々に下へ下へとさがっていった。カトリーヌは、歯を食いしばり、なんとか耐えた。その間に、タムは回り込み、フローラ姫の手足の紐を噛み切り出した。
カトリーヌは、手がしびれ、剣を支えきれなくなったが、体の全ての力を腕に集中させ、えいやっとばかりに、相手の剣をはねのけた。それと同時にカトリーヌの体はよろめいたが、かろうじてこらえた。そしてもう一度剣を構え直した。
「そんなへっぴり腰で俺とやろうなんて土台無理な話だなあ」
男はにやにや笑いながら、剣をカトリーヌに向けた。カトリーヌはせめてタムが、フローラ姫の紐を噛み切るまで時間を稼がなくてはと思った。
「おい、どうした反撃してこないのか」
相手の男は小馬鹿にしたようにそう言った。カトリーヌは両手で剣を握りしめると、相手の体に剣を突き刺そうとした。
「ガキッ」
すぐさま相手の剣が、カトリーヌの剣をはじき返した。
「どうやら稽古が必要なようだなあ」
言ったとたんに、男の剣がすっとカトリーヌの頬をかすめた。カトリーヌは心底ぞっとした。次は剣はどこにくるだろうか。そう思っている最中にも男の剣は宙を舞い、カトリーヌの体をしとめようと動き始めた。右に剣が来たかと思えば、今度は斜め左から、次は斜め右からと、相手の男は、カトリーヌの体を操っているかのように、剣を使って、動かした。カトリーヌは相手の切っ先を、必死になってかわし、なんとかもちこたえた。
「かわしてばかりじゃあ、つまらんな。次はその剣をもらう」
男はそう宣言すると、大振りの剣をカトリーヌの剣に思い切り叩きつけた。グワァンと剣は鳴り響き、カトリーヌの手は今まで以上にしびれ、とにかく剣を離してなるものかと、持っている剣を強く握りしめた。しかし相手の男は容赦なく何度も何度も叩き落とそうと、剣を振り上げて来た。何度目かの攻撃の時、カトリーヌの手は限界に達した。手がしびれすぎて、感覚がなくなってきたのだ。
『ああっ、駄目!』
悲痛な想いが心の声になり、胸の内に広がった。ここで剣を離してしまったら、負けてしまう。そう思いつつも、相手の強烈な剣の打撃を受け、剣はカランと音を立てて、床に転がってしまった。
「悪いな、この剣はもらう!」
嬉々として男がカトリーヌの剣を拾おうとした瞬間、男の胸に重い衝撃が走った。
「ドスッ」
カトリーヌは、手がしびれ、剣を支えきれなくなったが、体の全ての力を腕に集中させ、えいやっとばかりに、相手の剣をはねのけた。それと同時にカトリーヌの体はよろめいたが、かろうじてこらえた。そしてもう一度剣を構え直した。
「そんなへっぴり腰で俺とやろうなんて土台無理な話だなあ」
男はにやにや笑いながら、剣をカトリーヌに向けた。カトリーヌはせめてタムが、フローラ姫の紐を噛み切るまで時間を稼がなくてはと思った。
「おい、どうした反撃してこないのか」
相手の男は小馬鹿にしたようにそう言った。カトリーヌは両手で剣を握りしめると、相手の体に剣を突き刺そうとした。
「ガキッ」
すぐさま相手の剣が、カトリーヌの剣をはじき返した。
「どうやら稽古が必要なようだなあ」
言ったとたんに、男の剣がすっとカトリーヌの頬をかすめた。カトリーヌは心底ぞっとした。次は剣はどこにくるだろうか。そう思っている最中にも男の剣は宙を舞い、カトリーヌの体をしとめようと動き始めた。右に剣が来たかと思えば、今度は斜め左から、次は斜め右からと、相手の男は、カトリーヌの体を操っているかのように、剣を使って、動かした。カトリーヌは相手の切っ先を、必死になってかわし、なんとかもちこたえた。
「かわしてばかりじゃあ、つまらんな。次はその剣をもらう」
男はそう宣言すると、大振りの剣をカトリーヌの剣に思い切り叩きつけた。グワァンと剣は鳴り響き、カトリーヌの手は今まで以上にしびれ、とにかく剣を離してなるものかと、持っている剣を強く握りしめた。しかし相手の男は容赦なく何度も何度も叩き落とそうと、剣を振り上げて来た。何度目かの攻撃の時、カトリーヌの手は限界に達した。手がしびれすぎて、感覚がなくなってきたのだ。
『ああっ、駄目!』
悲痛な想いが心の声になり、胸の内に広がった。ここで剣を離してしまったら、負けてしまう。そう思いつつも、相手の強烈な剣の打撃を受け、剣はカランと音を立てて、床に転がってしまった。
「悪いな、この剣はもらう!」
嬉々として男がカトリーヌの剣を拾おうとした瞬間、男の胸に重い衝撃が走った。
「ドスッ」