もし、本当に夜盗に捕まってしまったとしたら、いったいどんな目に遭っていることか。それを考えると、不安でたまらず、カトリーヌはいてもたってもいられなかった。二人は一気に丘の上の辺りまで走った。その丘の上には、教会の廃墟があり、月に照らされ、白々とした様子で浮かび上がっていた。
カトリーヌは小声でタムに訊いた。
「ここでしょうか?」
「フローラ姫はここにいるはずだ。他の誰かの臭いもここからする。気をつけるんだ、カトリーヌ」
タムから忠告を受け、カトリーヌは緊張で青ざめた。これからどうしたらいいんだろう。怖さのあまりうずくまりかけたが、助けてくれる人は誰ひとりいなかった。タムの話からすると、フローラ姫は夜盗に捕まってしまったに違いない。ともかくフローラ姫が、今どんな状況なのか知らなくちゃいけない。
「タム、お願いがあります。廃墟の中のどの場所にフローラ姫がいるか探ってきてくれませんか」
「そうだな。カトリーヌが行くより、まずは俺が偵察に行った方がいいだろう。そもそも俺は犬だから、そんなに相手も警戒しないだろう」
タムは、そう言い残すと、廃墟の教会の中に入って行った。カトリーヌは丘の岩陰に隠れて、タムが戻ってくるのを待った。待っている間、とても心細く、カトリーヌの心は不安の陰に脅かされていた。もし、タムも捕まってしまったら、そんなことまで考え、カトリーヌの胸の内はざわめいていた。しばらくすると、心配をよそに、タムが戻ってきた。
「フローラ姫は教会の一番奥の部屋に、捕らわれている。手は紐で縛られていて、身動きとれない状態だ。夜盗は今、一人だけだった。おそらく他にも仲間はいると思うが、助けるなら、今しかない。どうする」
タムに訊かれ、カトリーヌは戸惑った。もちろん、助けたいが、剣もなければ、攻撃力のある魔法も覚えてはいない。そんなことで、助けられるのか、心配だった。パーリヤさんだったら、攻撃魔法もなんでも知っていて、助けることができるだろう。いっそのこと、パーリヤさんを呼んでくるとか。カトリーヌの弱気な心が、そんなことまで考えさせていた。
「どうする、カトリーヌ。俺は戦うにしても限度がある。かみつくぐらいが、関の山だ。紐をかみきるぐらいはできるとは思うが……」
タムは自信なさげな表情のカトリーヌを見て、こう言ってきた。
カトリーヌは小声でタムに訊いた。
「ここでしょうか?」
「フローラ姫はここにいるはずだ。他の誰かの臭いもここからする。気をつけるんだ、カトリーヌ」
タムから忠告を受け、カトリーヌは緊張で青ざめた。これからどうしたらいいんだろう。怖さのあまりうずくまりかけたが、助けてくれる人は誰ひとりいなかった。タムの話からすると、フローラ姫は夜盗に捕まってしまったに違いない。ともかくフローラ姫が、今どんな状況なのか知らなくちゃいけない。
「タム、お願いがあります。廃墟の中のどの場所にフローラ姫がいるか探ってきてくれませんか」
「そうだな。カトリーヌが行くより、まずは俺が偵察に行った方がいいだろう。そもそも俺は犬だから、そんなに相手も警戒しないだろう」
タムは、そう言い残すと、廃墟の教会の中に入って行った。カトリーヌは丘の岩陰に隠れて、タムが戻ってくるのを待った。待っている間、とても心細く、カトリーヌの心は不安の陰に脅かされていた。もし、タムも捕まってしまったら、そんなことまで考え、カトリーヌの胸の内はざわめいていた。しばらくすると、心配をよそに、タムが戻ってきた。
「フローラ姫は教会の一番奥の部屋に、捕らわれている。手は紐で縛られていて、身動きとれない状態だ。夜盗は今、一人だけだった。おそらく他にも仲間はいると思うが、助けるなら、今しかない。どうする」
タムに訊かれ、カトリーヌは戸惑った。もちろん、助けたいが、剣もなければ、攻撃力のある魔法も覚えてはいない。そんなことで、助けられるのか、心配だった。パーリヤさんだったら、攻撃魔法もなんでも知っていて、助けることができるだろう。いっそのこと、パーリヤさんを呼んでくるとか。カトリーヌの弱気な心が、そんなことまで考えさせていた。
「どうする、カトリーヌ。俺は戦うにしても限度がある。かみつくぐらいが、関の山だ。紐をかみきるぐらいはできるとは思うが……」
タムは自信なさげな表情のカトリーヌを見て、こう言ってきた。