ごく簡単なものから、難しいものまで、カトリーヌは本で知った全ての呪文を唱えることにした。タムもまた同じように唱えたが、全部唱え終えても何も起こらなかった。そして、いよいよカトリーヌも最後の呪文となった。それは本の中で一番古い呪文として記されていたものだった。これで駄目だったら、もうどうしようもない。カトリーヌは、祈るような気持ちで、最後の呪文を唱えた。するとどうだろう。今まで飾られていた絵が突然消え去り、もともと絵のあった場所には、角張った青いドアが突如現れたのだ。
「やったわね、カトリーヌ!」
「はい!」
フローラに声をかけられ、カトリーヌも嬉しくなって返事をした。
「このドアには、鍵はかかっていないみたいね」
フローラ姫は、青いドアに近づき、そう言った。なぜなら、そのドアには、鍵穴らしきものは、造られていなかったからだ。これでようやくパーリヤの秘密を握れると、三人は、ほっとした。フローラ姫は一呼吸おいてから、早速その青いドアに手をかけ、二人に言った。
「じゃあ、開けるわよ」
二人に心の準備を訊くと、二人とも同時に頷いた。
フローラ姫がドアを開け放つと、そこはまたがらんとした空間の部屋だった。部屋はしばらく闇に包まれていたが、突如天井に赤々とした火が灯った。上を見ると、見事なシャンデリアが、宙に浮いて輝いてた。
「シャンデリアが宙に浮いてるなんて、あれは魔法ね」
「そうですね。あっ、あそこに何かあります。あの黒い物はなんでしょうか」
そう言って、カトリーヌが指差したのは、部屋の隅にあった黒塗りのグランドピアノだった。
「あれはピアノよ」
「ピアノ?」
カトリーヌは、不思議そうな顔をして、そのピアノを見つめた。
「あれは楽器なの」
「楽器?」
ますます困惑しているカトリーヌに、フローラ姫が言った。
「ちょっと説明するのは、面倒ね。いいわ、私がピアノを弾いてあげる」
「弾く?」
「そう、ピアノは弾くものなの。しっかり見てなさいよ」
「やったわね、カトリーヌ!」
「はい!」
フローラに声をかけられ、カトリーヌも嬉しくなって返事をした。
「このドアには、鍵はかかっていないみたいね」
フローラ姫は、青いドアに近づき、そう言った。なぜなら、そのドアには、鍵穴らしきものは、造られていなかったからだ。これでようやくパーリヤの秘密を握れると、三人は、ほっとした。フローラ姫は一呼吸おいてから、早速その青いドアに手をかけ、二人に言った。
「じゃあ、開けるわよ」
二人に心の準備を訊くと、二人とも同時に頷いた。
フローラ姫がドアを開け放つと、そこはまたがらんとした空間の部屋だった。部屋はしばらく闇に包まれていたが、突如天井に赤々とした火が灯った。上を見ると、見事なシャンデリアが、宙に浮いて輝いてた。
「シャンデリアが宙に浮いてるなんて、あれは魔法ね」
「そうですね。あっ、あそこに何かあります。あの黒い物はなんでしょうか」
そう言って、カトリーヌが指差したのは、部屋の隅にあった黒塗りのグランドピアノだった。
「あれはピアノよ」
「ピアノ?」
カトリーヌは、不思議そうな顔をして、そのピアノを見つめた。
「あれは楽器なの」
「楽器?」
ますます困惑しているカトリーヌに、フローラ姫が言った。
「ちょっと説明するのは、面倒ね。いいわ、私がピアノを弾いてあげる」
「弾く?」
「そう、ピアノは弾くものなの。しっかり見てなさいよ」