「いや、この香りは、この絵のところからたくさん匂ってくるな。やはりこの絵に何か仕掛けがあるんじゃないか」
そう言われて、フローラ姫とカトリーヌも匂いを嗅いでみると、確かに絵の辺りから、強い匂いがするような気がした。そこで三人は絵のあちこちを調べ始めた。額縁から始まり、王妃の冠の辺りを指でなぞってみたり、いろいろしてみたが、どれもこれも駄目だった。彼らは眉間にしわを寄せたまま、しばらく熟考していたが、カトリーヌが口を開いた。
「もう一度歌を歌ってみたら、どうでしょうか」
「歌を?」
「ええ、そうです」
「それもそうね、他にしようがないものね」
そこで、フローラ姫は、再び歌を歌った。彼女の声は部屋中に響き渡り反響した。カトリーヌはまたその歌声に魅了され、うっとりした。何度でもアンコールしたそうなカトリーヌだったが、歌っているフローラ姫は、気が気でなかった。もう一つの部屋へとつながるドアが、現れるかもしれないと思うと、あまり歌に集中できなかった。それでも最後まで歌い切ると、彼女は二人に訊いた。
「どう? 何か変化あった?」
しかし二人は残念そうに首を振るだけだった。フローラ姫は、がっかりして、床に座り込んでしまった。
「ああ、駄目だわ。私は見たこともない隣国の王子と結婚しないといけない運命なんだわ。ほんと嫌になっちゃうわ」
その言葉を聞いたカトリーヌは、歌を聴いた喜びも消え失せ、だんだんと顔が青ざめていった。もし、その隣国の王子の命を奪えと言われたら、どうしようか。考えるだけで、ぞっとした。ここでパーリヤに反旗を振らずに、どうするというのだろう。ともかく何か他にできることはないだろうか。私にあるのは、魔法だけだ。そう、魔法だけ……。そこで、いったん考えるのをやめると、カトリーヌはフローラ姫に言った。
「魔法でドアが現れないかやってみましょう」
「でもさっきのドアは歌で開いたのよ。魔法では駄目だったわ」
「けど、まだ試してないですよ」
言われてみればそうだった。タムもそういえば、そうだなと頷いた。そこでカトリーヌとタムは魔法の呪文をかけあった。
そう言われて、フローラ姫とカトリーヌも匂いを嗅いでみると、確かに絵の辺りから、強い匂いがするような気がした。そこで三人は絵のあちこちを調べ始めた。額縁から始まり、王妃の冠の辺りを指でなぞってみたり、いろいろしてみたが、どれもこれも駄目だった。彼らは眉間にしわを寄せたまま、しばらく熟考していたが、カトリーヌが口を開いた。
「もう一度歌を歌ってみたら、どうでしょうか」
「歌を?」
「ええ、そうです」
「それもそうね、他にしようがないものね」
そこで、フローラ姫は、再び歌を歌った。彼女の声は部屋中に響き渡り反響した。カトリーヌはまたその歌声に魅了され、うっとりした。何度でもアンコールしたそうなカトリーヌだったが、歌っているフローラ姫は、気が気でなかった。もう一つの部屋へとつながるドアが、現れるかもしれないと思うと、あまり歌に集中できなかった。それでも最後まで歌い切ると、彼女は二人に訊いた。
「どう? 何か変化あった?」
しかし二人は残念そうに首を振るだけだった。フローラ姫は、がっかりして、床に座り込んでしまった。
「ああ、駄目だわ。私は見たこともない隣国の王子と結婚しないといけない運命なんだわ。ほんと嫌になっちゃうわ」
その言葉を聞いたカトリーヌは、歌を聴いた喜びも消え失せ、だんだんと顔が青ざめていった。もし、その隣国の王子の命を奪えと言われたら、どうしようか。考えるだけで、ぞっとした。ここでパーリヤに反旗を振らずに、どうするというのだろう。ともかく何か他にできることはないだろうか。私にあるのは、魔法だけだ。そう、魔法だけ……。そこで、いったん考えるのをやめると、カトリーヌはフローラ姫に言った。
「魔法でドアが現れないかやってみましょう」
「でもさっきのドアは歌で開いたのよ。魔法では駄目だったわ」
「けど、まだ試してないですよ」
言われてみればそうだった。タムもそういえば、そうだなと頷いた。そこでカトリーヌとタムは魔法の呪文をかけあった。