気がつくと、フローラ姫はずいぶん先まで行ってしまっていた。二人は行きずらさを感じつつも、なんとか前へ前へと進んで行った。途中から、猛烈な風が廊下の奥から吹いてきて、二人は床に踏ん張りながら、なんとか歩いて行った。一方フローラ姫は、二人の様子に気づかなかったので、一人でどんどん先へと進み、赤いドアの前に早々にたどり着いてしまった。振り返ると、二人の姿がずいぶんと遠くに見えた。
「何してるの、二人とも」
見ていると二人は、引きずるように足を運んでいるのが分かった。さすがにちょっと不安になり、フローラ姫は今来た廊下を戻り始めた。しばらくすると、彼女は二人のところまで戻って来た。
「いったいどうしたの?」
事情の分からないフローラ姫は不思議そうに訊いてきた。
「俺とカトリーヌは今、魔法のトラップにかかって、歩くのが大変なんだ」
「今、私達は嵐の中にいます」
カトリーヌは、なんとか口を開くとそう答えた。二人が見るからに、歩くのが困難なのを見て取ると、彼女は眉間にしわを寄せた。
「なぜ私だけ平気なのかしら」
「それはそなたが、魔法を使えない者だからだ。どうやらここのトラップは魔法を使える者だけにはたらくらしい」
「まあ! それならどうしたらいいのかしら」
彼女は腕を組んで考え出した。
「私にはたらかないと言うなら、どうしたらいいのかしら……」
二人が難儀そうに歩くのを見つめているうちに、カトリーヌはぱちんと指を鳴らした。
「だったら私が連れて行けばいいのよ!」
そう言うなり、フローラ姫はカトリーヌをいきなり背負い、腕にはタムを抱えて、歩き出した。
「えっ?!」
カトリーヌは声をあげた。どう見ても非力な様子のお姫様なのに、いったいどこからその力が出てきたのか、唖然としたのだ。タムも意外そうな顔をしてフローラ姫を見上げた。
「そんなにびっくりしないでよ。こう見えて、非常事態に備えて鍛えているのよ。私は!」
意気揚々と語ったフローラ姫は、その勢いのまま、小走りで走り出した。
だだだっと走っていくうちに、二人にかかっていたトラップはいつのまにか消え去り、苦悶の表情を浮かべていた二人はようやく落ち着いた。そうして、三人は無事に赤いドアの前にたどり着いた。
「ありがとうございました」
「いや、助かった」
二人が口々にそう言うと、フローラ姫は、えへんと一つ咳払いした。
「何してるの、二人とも」
見ていると二人は、引きずるように足を運んでいるのが分かった。さすがにちょっと不安になり、フローラ姫は今来た廊下を戻り始めた。しばらくすると、彼女は二人のところまで戻って来た。
「いったいどうしたの?」
事情の分からないフローラ姫は不思議そうに訊いてきた。
「俺とカトリーヌは今、魔法のトラップにかかって、歩くのが大変なんだ」
「今、私達は嵐の中にいます」
カトリーヌは、なんとか口を開くとそう答えた。二人が見るからに、歩くのが困難なのを見て取ると、彼女は眉間にしわを寄せた。
「なぜ私だけ平気なのかしら」
「それはそなたが、魔法を使えない者だからだ。どうやらここのトラップは魔法を使える者だけにはたらくらしい」
「まあ! それならどうしたらいいのかしら」
彼女は腕を組んで考え出した。
「私にはたらかないと言うなら、どうしたらいいのかしら……」
二人が難儀そうに歩くのを見つめているうちに、カトリーヌはぱちんと指を鳴らした。
「だったら私が連れて行けばいいのよ!」
そう言うなり、フローラ姫はカトリーヌをいきなり背負い、腕にはタムを抱えて、歩き出した。
「えっ?!」
カトリーヌは声をあげた。どう見ても非力な様子のお姫様なのに、いったいどこからその力が出てきたのか、唖然としたのだ。タムも意外そうな顔をしてフローラ姫を見上げた。
「そんなにびっくりしないでよ。こう見えて、非常事態に備えて鍛えているのよ。私は!」
意気揚々と語ったフローラ姫は、その勢いのまま、小走りで走り出した。
だだだっと走っていくうちに、二人にかかっていたトラップはいつのまにか消え去り、苦悶の表情を浮かべていた二人はようやく落ち着いた。そうして、三人は無事に赤いドアの前にたどり着いた。
「ありがとうございました」
「いや、助かった」
二人が口々にそう言うと、フローラ姫は、えへんと一つ咳払いした。