「豚のしっぽ草って、パーリヤにつんでくるように言われた草ね」
「そうです。この草を煎じて飲んでいると、風邪を引きにくくなるんです。あといろんな魔法薬の成分だったりもします。たとえば、ほれ薬の調合に使われたりするんです」
「ほれ薬って、そういえばパーリヤに作るように言われていたわね」
 エリザべスは、考え深げに、言葉を投げた。
「ええ、そうです。いったいどんな人に使うか知りませんが、ほれ薬を作るようによく言われます。食べ終ったら早速作らないと間に合いません」
「作るのには、結構時間がかかるの?」
 カトリーヌは笑って答えた。
「そういうわけではないのですが、私は手際が悪いから、余分に時間を持たせて作ってるんです」
「そうなのね。それじゃあ、いただきましょうか」
「はい、そうしましょう。いただきます」
 二人は嬉しそうにテーブルを囲むと、料理に手を伸ばし、心置きなく食べ出した。料理はどれもこれも美味しかった。まん丸とした七面鳥は、香ばしく焼き上がっていて、食べるとぱりっと音がした。塩コショウがぴりりっと効き、いくらでも食べられそうな味わいだった。スープは、こってりとしたかぼちゃの甘味とクリームが、口の中で広がり、焼きたてのパンをスープにつけて食べると、余計美味しさが増していった。最後は、上品な甘さを持ったナッツ入りのドライフルーツケーキと、しっぽ草のお茶が、食後の余韻を楽しませてくれた。二人は大満足で、デリザスに感謝した。