エリザベスは、その部屋の様子に圧倒されたように、辺りをきょろきょろと見回した。そうして、手近にあった小瓶を手に取ると、文字の書かれているラベルを読もうとした。しかしどうしても彼女はその文字を読むことができなかった。なぜならその文字は彼女の見慣れた国の文字ではなく、見たこともない文字が書かれていたからだ。
「ねえ、これはなんて書いてあるの」
カトリーヌは、目指す魔法薬を求めて、棚の間を歩き回っていたが、エリザベスの声を聞き、慌てて戻ってきた。
「駄目ですよ。勝手に触っちゃ」
少し困ったように、カトリーヌは言ったが、エリザベスが手にしている小瓶を見て、驚いた。
「ああ、それです! 今必要な魔法薬は」
「えっ、これなの?」
「そうです」
エリザベスは、手に持っている小瓶をカトリーヌに渡すと、彼女は神妙な面持ちで、その瓶を見つめた。
「それでなんて書いてあるの」
「傷を治すには最高の一滴って書いてあるんです」
「私にはちっとも読めなかったわ」
エリザベスは、プライドを傷つけられたように、嘆いた。
「しかたないですよ。今は使われていない古代の文字で書かれているのですから」
カトリーヌは、エリザベスを慰めながらそう言った。
「あら、古い文字なのね。でも私も古い文字は読めるはずなのに」
「異国の地の古い文字なんです」
カトリーヌが諭すように言うと、エリザベスは納得したように頷いた。
「だから、読めないのね」
「そうですね」
「でも、カトリーヌは読めるのね」
「ずいぶん時間がかかりましたが、習得したんです」
「すごいわね。でもなぜ今の文字で書かれてないのかしら」
不思議そうに訊いてくるエリザベスに、カトリーヌはこう答えた。
「魔法は古い文字に宿ってるんです。古い文字で書くことによって、魔法の力が強くなるんです」
「まあ! そうなの。そんなこと初めて知ったわ。やっぱりあなたは魔女の弟子なのね」
エリザベスは素っ頓狂な声をあげながら、カトリーヌを尊敬の眼差しで見つめた。カトリーヌは恥ずかしそうに顔を赤くしたが、すぐさま我に返ると、エリザベスの顔に魔法薬を振りかけた。するとどうだろう。赤みを帯びていた傷が、数秒も立たないうちに、目立たなくなり、あっというまに消え去った。
「あら、なんだか全然痛みを感じなくなったわ」
「ねえ、これはなんて書いてあるの」
カトリーヌは、目指す魔法薬を求めて、棚の間を歩き回っていたが、エリザベスの声を聞き、慌てて戻ってきた。
「駄目ですよ。勝手に触っちゃ」
少し困ったように、カトリーヌは言ったが、エリザベスが手にしている小瓶を見て、驚いた。
「ああ、それです! 今必要な魔法薬は」
「えっ、これなの?」
「そうです」
エリザベスは、手に持っている小瓶をカトリーヌに渡すと、彼女は神妙な面持ちで、その瓶を見つめた。
「それでなんて書いてあるの」
「傷を治すには最高の一滴って書いてあるんです」
「私にはちっとも読めなかったわ」
エリザベスは、プライドを傷つけられたように、嘆いた。
「しかたないですよ。今は使われていない古代の文字で書かれているのですから」
カトリーヌは、エリザベスを慰めながらそう言った。
「あら、古い文字なのね。でも私も古い文字は読めるはずなのに」
「異国の地の古い文字なんです」
カトリーヌが諭すように言うと、エリザベスは納得したように頷いた。
「だから、読めないのね」
「そうですね」
「でも、カトリーヌは読めるのね」
「ずいぶん時間がかかりましたが、習得したんです」
「すごいわね。でもなぜ今の文字で書かれてないのかしら」
不思議そうに訊いてくるエリザベスに、カトリーヌはこう答えた。
「魔法は古い文字に宿ってるんです。古い文字で書くことによって、魔法の力が強くなるんです」
「まあ! そうなの。そんなこと初めて知ったわ。やっぱりあなたは魔女の弟子なのね」
エリザベスは素っ頓狂な声をあげながら、カトリーヌを尊敬の眼差しで見つめた。カトリーヌは恥ずかしそうに顔を赤くしたが、すぐさま我に返ると、エリザベスの顔に魔法薬を振りかけた。するとどうだろう。赤みを帯びていた傷が、数秒も立たないうちに、目立たなくなり、あっというまに消え去った。
「あら、なんだか全然痛みを感じなくなったわ」