ーー少しして、パンや卵のいい匂いが部屋に漂ってきた。
「よしっ、出来た」
慣れた様子でお皿に作ったものを盛ったかと思うと、目の前に現れたのは、まるでお店で出てくるような出来栄えの朝ご飯だった。
「今日は食パンの上にベーコンを乗せてトーストしたものと、一口サイズのオムレツに、サラダとコンソメスープにしてみたよ」
「すごいね…」
駿ちゃんが私と対面に座ると、一緒に頂きますと手を合わせる。
まずはフォークを手に取って、サラダを食べる。
瑞々しいしシャキシャキのレタスと、トマト、ツナがあって、かかっているドレッシングも美味しい。
その後、スプーンに持ち替えてオムレツを小さく分けると、フワトロでいい焼き加減に仕上がっているのが分かった。
「う~ん、美味しいっ」
「良かった。ふふっ、ケチャップついてるよ」
駿ちゃんは笑いながら手を伸ばして、唇の端に付いていたらしいケチャップを拭ってくれた。
そして、そのまま自分の口に運んでしまう。
その仕草と笑みがあまりにもカッコよくて、照れた顔を見られないように下を向いて無理やり話題を変える。
「あ、あの、私は家で仕事してるんだよね?掃除とか洗濯とか、家事分担はどうなってるのかな?」
「一応、洗濯物は花菜ちゃんで、掃除と料理は僕かな。でも僕も基本在宅で仕事やってるから、一緒にやろうね」