その仕草や声は変わっていない。
この人はやはり私の大好きな駿ちゃんなんだ。
まるで知らない人といるような感覚は抜けないが、7年の空白があるのだからそれは仕方ないだろう。
寝室を出ると廊下があって、歩きながらトイレやお風呂の場所を教えてもらう。
突き当りにあるドアを開けると、左側にキッチンやダイニングテーブルとチェアがあって、右の方にはテレビやソファが置かれているリビングがあった。
全体的に家具は木製で揃えられていて、私好みのデザインだった。
木の香りに包まれると安心するいう話をしたことがあったので、それを覚えていてくれたのだろう。
「待ってて。すぐに朝ご飯の準備するからね」
「あ、うん。ありがとう」
駿ちゃんは私をダイニングチェアに座らせると、水が入ったコップを持ってきてくれて、すぐにキッチンに入る。
青のエプロンを付けてフライパンを持つ姿は、時々手料理を振る舞ってくれた姿と変わりなくてホッとする。
7年も経っていても、変わらないものがあるのは嬉しい。