「まだまだ分からないことだらけで不安だろうけど、僕がいるから安心して欲しい」

「うん、ありがとう」

大方話し終わったので、朝ご飯を食べようという事になった。

寝室を出るためにベッドから立ち上がろうとしたらよろけてしまい、目の前にいた駿ちゃんに抱き着く形になってしまう。

「あっ、ご、ごめん」

「大丈夫?」

「だ、大丈夫。多分…」

多分と付け加えたことが不安要素になってしまったのか、駿ちゃんは急に私をお姫様抱っこにして運び出す。

「じ、自分で歩けるよ…っ」

「う~ん、でも僕が花菜ちゃんとくっついていたいから無理かな」

…っこ、この人は本当に私の知っている駿ちゃんだろうか。

私の記憶の中の駿ちゃんはとても恥ずかしがり屋で、幼い頃はよく女の子に間違えられていたくらい可愛い人だった。

高校生になっても根は変わっていなくて、人見知りで、照れ屋で。

間違ってもこんな風に抱き上げたり、甘い言葉なんて言わない、はず。

「しゅ、駿ちゃん…?」

「うん?」

私が名前を呼ぶと少し首を傾げて私の方を向いてくれる。