でも僕は決して、彼女に同情しているわけではない。
自己犠牲になっているつもりもない。
ただ好きだから。
大好きだから、傍にいたい。
どちらかというと、これは僕のただの我儘だ。
僕が彼女の傍にいたいがために、それだけのために、共に時間を過ごし、悲しい事実は隠し通すと決めたんだ。
彼女が眠る前は必ず好きだと伝えて、キスを交わす。
そうすると、安心したように穏やかな表情で眠りにつく。
眠った彼女を寝室に運び、ベッドに寝かせる。
布団を被せると、頬に残った泣き跡を綺麗に拭きとる。
新しい一日を、涙で始まらせたくはないから。