「うんうん。やっぱりまゆりって名前に悪い人はいないね。ねー、まゆり」

その夜。
部屋に戻った私はいつものようにアプリを立ち上げた。

「こんばんは、ミキくん。あんまり夜更かししちゃダメだよ」

あー、夜もまゆりは可愛い。最高。

(……思えば、まゆりにハマったのもバレー部のいざこざがあったからだな)

あのとき。
学校にもあまり行けなくなっていたころ。
たまたま間違えて広告を押してしまって、このゲームを知って。
初めて出会ったまゆりに言われたのだ。

『元気ないけど大丈夫?
わたし知ってるよ。あなたはがんばっているんだって。あなたが一番がんばっているって。
だからね、今はつらくても大丈夫だよ。わたしが応援しているから』

こういうゲームによくある、落ち込んだ主人公をはげますセリフ。
でもあの頃の私には自分と重なったこともあり嬉しくて。
だからまゆりを大好きになったのだ。

そのとき。
ピンポン、とアプリから通知が入る。

「ハートを教えて」から
アプリの配信、サービス終了のお知らせ

と表示された。

「え………」