「すみませんー」
「!」

後ろを向いていたが、とうとう声をかけられてしまった。
振り向くと、予想通りの人物。
相手は私をみて、目を見開いた。

「え!辰己さん!?」
「いらっしゃいませ……」
「え、ちょ、まじ?なんでこんなとこでバイトしてんのー!やだー!」

彼女が置いたアイスのバーコードを読み取る。

「168円です」
「ねえ!辰己さん、いつからバイトしてんの?
ねえ、ねえ、みんな!辰己さんいるよ!」
「……168円になります」

なるべく気にせずに仕事をしようとするものの、上手く行かない。
はしゃぐ声に他のみんなも集まってきて、私は軽く見せ物のようになってしまう。

「あ!本当だ、辰己さんだ!うけるー」
「あの……168円です」
「久しぶりだね、辰己さん!ねえ、なんでバイトしてるの?放課後ひまになったから?」
「………」
「うちの部やめて、放課後時間できたもんねー」

ああ…
現実なんてマジでクソ。

こんなとき、
まゆりに会いたい。声がききたい。