「え?」

私達が固まる。

「ど、どうして…?」

震える声で、海漣(みらん)が言う。

教師が呆れたような顔をする。

「どうして、か。元々、我々教師陣も亜輝(あかぐ)の態度には手を焼いていた。他生徒との暴力沙汰、授業放棄など、挙げればきりがない。それでもまだ、実力があるうちは良かったのだが。話を聞くと、記憶喪失になったそうじゃないか。ということは、もう力も使えないのだろう?実力のない問題児など、こっちから願い下げだ。」

やっぱり…。

覚悟はしていた。

かつての私がしていた数々の悪行。

天才と呼ばれるほどの実力者ならともかく、ただの小娘がそれを許されるとは到底思えない。

「先生!いくらなんでも…あんまりです!もしかしたら、記憶が戻るか力が使えるようになるかするかもしれないのに、退学なんて…。」

海漣が必死になって私を養護する。

「例え記憶が戻ったとしても、問題児であり排除対象には違いない。それに、ここは只の陰陽師(おんみょうじ)を育成する機関ではない。強い陰陽師を育成するための学校だ。凡人など必要ない。」

残念ながら、筋は通っている。

最後の手段だ。

一応、学校に来る間考えていた策だ。

一か八か、やるしかない。

「それなら、お願いがあります。私に時間をください。私はその期間、陰陽師について学び、期間後に、テストをしてください。もし、凡人ではないのなら、短い時間でもある程度の成果は挙げられると思います。もし、テストの結果が不合格であれば、私は大人しく退学させていただきます。でも、合格だったら、このままこの学校に通わせてください。」

しばしの沈黙。

私の提案を聞いた教師は、突然大きな声で笑い出した。