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樋口さんと長く身をひそめていたのは裏路地。
そこから出て、1時間と少し。
「〜〜っ、ぅ、あの、ひ、ぐち、さん?」
さて、私に一体何が起きているのでしょうか?
「うん。俺」
「ゎ、分かって、ます、」
「いま、パニックでしょ」
「ぅ、ぁ、はい、そ、です、」
予想と違い過ぎる展開に、
ただただ、驚き過ぎてパニック状態。
『知ってる?呼吸がラクになる方法』
樋口さんのその発言からは、
想像も出来ない場所に。
高級ホテルの、
スイートルームに、私たちはいる。
だけど樋口さんは至って冷静で............
「一旦、ちゃんと息吸って」
そう言って、スゥ、ハァと、
私に呼吸をするように促してくれた。