多分秋山さんは私の事も好きにはならないような気がしていた。
話すと楽しいし盛り上がるしこの時間がずっと続けばいいのにって思うんだけど…私は秋山さんと仲良くしてもいいんだろうか……
その日から2人の関係は少しずつ変わっていった。
私はいつも手渡ししていた追加伝票も棚に入れ、昼休みには他の人に呼ばれたらみんなの所に行ったが時々自分の車の中で過ごしていた。
ある日の昼休みに車の中で動画を見ていると助手席のドアが開いて秋山さんが乗ってきた。
「び、びっくりしたぁ…」
「避けてんの?俺の事」
「別に…ただ…他の人と同じ様にと思っただけで…」
「ふーん…」
秋山さんは黙ってしまった。
車の中では真綾が見ていた動画の声だけが聞こえている。
「俺もそのチャンネル見てる…」
「本当に?面白いですよね(笑)」
「やっと笑った…ちゅっ」
「へ?」
秋山さんは真綾が顔を上げた瞬間に頭を持って口唇に軽いキスをしてきた。
「何?そんなに驚く事?」
「それは、びっくりするでしょ、彼氏でもないのに」
「あー、お前はそういうタイプか、嫌か?」
何を言ってるんだろうこの人は…
「嫌じゃないけど……」
そして私は無意識にもそう答えてしまっていた。