「開けて〜」
ペットボトルの蓋を開けてゴクゴクと飲み始める。
「ここでじっとしてろよ」と優香ちゃんから少し離れた。
カチッとライターの音がしてふぅーっと煙を吐き出す。
「びっくりした?子供がいて」
秋山さんが尋ねてきた。
「正直言うとびっくりです、おいくつですか?」
「小学校1年生、20歳の時の子」
秋山さんは長距離に乗っていて家を留守がちになっていたら嫁が男作って出ていったと話してくれた。
生活の為に給料のいい長距離に乗ってたのにやられたよともう思い出話の様に明るく話す。
今は実家の近くにアパートを借りて2人で住んでいるという。
長距離をやめて4tに乗り換えたのは優香ちゃんと暮らすからと話してくれた。
実際実家に頼りっぱなしなのが実情だけど、前の嫁はあまり子供が好きじゃなかったらしい。
まあ、俺に似て人見知りしないからさ、話し相手になってやってとタバコを消して優香ちゃんと一緒にグラウンドに行ったのだった。
試合を見ながら真綾は自分の気持ちを考えていた。
正直、秋山さんが好き…でもこの先の事は考えられないかもしれない。
別に優香ちゃんが邪魔とかそういう事ではなく生活が違いすぎる。
真綾は今までお付き合いをしたことがない。
もちろんキスもまだだ。
男の人と話せるがどうしても友達止まりで恋愛に発展する事がなかったのだ。