「後輩ちゃん、慎重にね。」
と言い凛先輩が僕に線香花火を渡し、僕たちの花火が均等に分けられた。
「ねえ、後輩ちゃん。線香花火対決しよ。」
「いいですよ。絶対に負けません。」
「おお。よーし、先輩頑張っちゃうぞ。」
と凛先輩が自信満々に言った。
「ねえ、後輩ちゃん。負けたほうが勝ったほうのお願い聞くっていう罰ゲームつけようよ。そしたら、もっとやる気出るでしょ。」
「良いですよ。負けませんから。」
「ふーん、言うね。」
凛先輩はきっと変なお願いをしてくるから絶対に勝たないと、と僕が思っていると凛先輩はもう準備満タンな様子で僕を見てきた。
「凛先輩、これって短いほうが勝ちですか。」
「ん、そうだよ。」
「わかりました。」
僕たちは無言になり、線香花火に火を付けた。すると、最初は小さく丸い玉ができた。そのたまが徐々に大きくなってきて、やがて少しづつパチパチと弾ける。そして火が激しくなり、一番輝いている時、小さな玉を一粒地面に落とした。もう、これは必要ないと言わんばかりに。そして火が弱まっていき、すっと静かに消えていった。
「おお、後輩ちゃん。燃やしきった。」
「凛先輩は、あっ。」
凛先輩の足元を見ると、灰みたいな黒い塊が落ちていた。
「落としちゃったよ。やっぱり、最後まで燃やせないな。私、いつも落としちゃうんだよね。どうしても。」
と言いながら、悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔になった。
なんて顔してるんですか、ただ線香花火落としただけなのに、と言う言葉がなぜか喉に引っかかったようで出て来なかった。
「ねえ、後輩ちゃん。」
静かに、ゆっくり凛先輩が振り向いた。
「やっぱり、長い方が勝ちってことにしないかい。」
「絶対にしません。」
「えーん、お願いだよ。先輩、これ以上短くならないよ。」
「知りません。」
「後輩ちゃんのけち。」
「もともと、これは凛先輩が決めたルールなんですよ。凛先輩が決めたんだから、しっかり守ってください。」
「ちょっとくらい変えてもいいじゃん。」
「それ変えたら、ルールが全部変わるので、ちょっとどころじゃないです。」
「私の中ではちょっとなの。」
「凛先輩の中ではちょっとでも、僕の中では大きく違ってきちゃいます。大体、それ変えたら、僕がわざと落として凛先輩に勝っちゃうかもしれないんですよ。それでも良いんですか。」
「駄目だけど、私が負けちゃうよ。」
「もう、負けてください。」
「やだ、後輩ちゃんにどうしてもお願いしたいことがあるんだもん。」
「わかりました。じゃあ、僕の勝ちなので僕が凛先輩にお願いしますね。僕のお願いは『僕のお願いをして良い権利を凛先輩に譲る』です。」
僕がため息をつきながら凛先輩を見ると、凛先輩は目をキラキラさせていた。
「えっ、ほんとなの。でもそれって、もうお願い使ってないかな。」
「もう、なんでも良いじゃないですか。じゃあ、凛先輩はお願いしなくていいんですね。」
「良くない、良くないよ。じゃあ、ありがたくもらって、お願いをします。」
「なんですか。しょうもない事だったら許しませんからね。」
「分かってるって。」
と言い凛先輩が僕に線香花火を渡し、僕たちの花火が均等に分けられた。
「ねえ、後輩ちゃん。線香花火対決しよ。」
「いいですよ。絶対に負けません。」
「おお。よーし、先輩頑張っちゃうぞ。」
と凛先輩が自信満々に言った。
「ねえ、後輩ちゃん。負けたほうが勝ったほうのお願い聞くっていう罰ゲームつけようよ。そしたら、もっとやる気出るでしょ。」
「良いですよ。負けませんから。」
「ふーん、言うね。」
凛先輩はきっと変なお願いをしてくるから絶対に勝たないと、と僕が思っていると凛先輩はもう準備満タンな様子で僕を見てきた。
「凛先輩、これって短いほうが勝ちですか。」
「ん、そうだよ。」
「わかりました。」
僕たちは無言になり、線香花火に火を付けた。すると、最初は小さく丸い玉ができた。そのたまが徐々に大きくなってきて、やがて少しづつパチパチと弾ける。そして火が激しくなり、一番輝いている時、小さな玉を一粒地面に落とした。もう、これは必要ないと言わんばかりに。そして火が弱まっていき、すっと静かに消えていった。
「おお、後輩ちゃん。燃やしきった。」
「凛先輩は、あっ。」
凛先輩の足元を見ると、灰みたいな黒い塊が落ちていた。
「落としちゃったよ。やっぱり、最後まで燃やせないな。私、いつも落としちゃうんだよね。どうしても。」
と言いながら、悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔になった。
なんて顔してるんですか、ただ線香花火落としただけなのに、と言う言葉がなぜか喉に引っかかったようで出て来なかった。
「ねえ、後輩ちゃん。」
静かに、ゆっくり凛先輩が振り向いた。
「やっぱり、長い方が勝ちってことにしないかい。」
「絶対にしません。」
「えーん、お願いだよ。先輩、これ以上短くならないよ。」
「知りません。」
「後輩ちゃんのけち。」
「もともと、これは凛先輩が決めたルールなんですよ。凛先輩が決めたんだから、しっかり守ってください。」
「ちょっとくらい変えてもいいじゃん。」
「それ変えたら、ルールが全部変わるので、ちょっとどころじゃないです。」
「私の中ではちょっとなの。」
「凛先輩の中ではちょっとでも、僕の中では大きく違ってきちゃいます。大体、それ変えたら、僕がわざと落として凛先輩に勝っちゃうかもしれないんですよ。それでも良いんですか。」
「駄目だけど、私が負けちゃうよ。」
「もう、負けてください。」
「やだ、後輩ちゃんにどうしてもお願いしたいことがあるんだもん。」
「わかりました。じゃあ、僕の勝ちなので僕が凛先輩にお願いしますね。僕のお願いは『僕のお願いをして良い権利を凛先輩に譲る』です。」
僕がため息をつきながら凛先輩を見ると、凛先輩は目をキラキラさせていた。
「えっ、ほんとなの。でもそれって、もうお願い使ってないかな。」
「もう、なんでも良いじゃないですか。じゃあ、凛先輩はお願いしなくていいんですね。」
「良くない、良くないよ。じゃあ、ありがたくもらって、お願いをします。」
「なんですか。しょうもない事だったら許しませんからね。」
「分かってるって。」