放課後になり、僕は帰りの用意をまとめ、急いで部室へと向かった。しかし、そこにはもう先客がいた。
「おっ。遅かったじゃん、後輩ちゃん。」
そこには僕たち天文部の部長の凛先輩が机に腰を掛けていた。
「凛先輩が早すぎるんです。机の上から降りてください。」
と僕が言うと先輩はカラカラと笑い始めた。
「いいじゃん、後輩ちゃんよ。それより今日は、特別な企画があります。」
凛先輩が真面目な顔になり、一回深呼吸をして
「本日は花火をします。」
と言った。隣の机の上に花火が並べられているのだから、秘密でもなんでもない。部室に入った瞬間に察した。しかし、こんな事言うと凛先輩の機嫌が斜めになると解っているので言わなかった。
「ねえ、後輩ちゃん。暗くなるまで、何にかして私と遊ばないかい。」
「僕は読書するので、結構です。」
「後輩ちゃんのケチ。もしも、今日が私の最後の登校日だったらどうするんだよ。」
と凛先輩は口を尖らせて言った。
「それでも、僕の意見は変わりませんよ。」