少しずつ、空に近づいていくので自分がこれから消えてしまうと言うのがわかった。けど、それも嫌な気がしなかった。一度死んだ身なんだから、と割り切ることができた。全ては敬のおかげだと思った。けれど、ただ一つ心残りがあるとすれば、私は敬に好きだと言えなかった。私は生まれて初めての恋を死んでから体験した。
「もう少しだけ、長く生きれたらな。」
こんな独り言は誰にも聞こえない。けれど、それが良かった。こんな事は敬にだけは聞こえてほしく無かったから。だから、強がるかのように最後までずっと笑っていた。