「そんなの……イヤです」

「秋穂ちゃん……?」

「イヤです……。そんなの、イヤですよ……」

 私はこんなにも、加賀美さんのことが大好きなのに。なのに、そんな加賀美さんが……結婚するなんて、信じたくない。
 あまりにもショックすぎて、何も言えない。

「秋穂ちゃん……ごめん。もっと早く、伝えるべきだったね」

「加賀美さん……本当に、結婚するんですか?」

 本当に結婚してしまうの……? 私には、加賀美さんしかいないと思ってたのに……。

「ごめんね。……もう、決まったことだから」

 決まったことだから。そう言われてしまい、何も言えなくなる。
 私は加賀美さんのことが好き。大好きなの。

 でも加賀美さんには、幸せになってほしいという思いもあるから、複雑な気持ちになる。
 私は、加賀美さんのことを諦めるしかないんだと、自分の中で悟った。

 だから私は、加賀美さんのことを諦めるしかない。でも、そう簡単に諦められる訳がない。

「あの、加賀美さん」

「ん……?」

「今日一緒に、結婚のお祝いをさせてもらえませんか?」

 でも、加賀美さんの幸せを祈るべきなのは事実だから。だから私は、加賀美さんの幸せを誰よりも祝いたい。
 加賀美さんが幸せになれるのなら、それを精一杯応援したいと、そう思う。

「え……本当に?」

「はい。加賀美さんが幸せになるんですから、精一杯応援させてください」