「ひどいね、これは」
魅夜の左頬に触れてシノは大きくため息をついた。
「こんなになるまで何しちゃったの」
「……それは」
魅夜はそっと目を伏せる。分からない。原因を思い出そうとすると覚える感覚はぞわりと鳥肌が立つような何度も経験したことのある嫌なものだった。何も言わなくなった魅夜を見て、シノとこんぱるは肩を竦める。
変色した目は面で隠せたものの、左頬はもう誤魔化しようがない。
……たぶん、何かやらかしちゃったのかな。
魅夜はふうと息をついた。
「むすびみたいだ」
絶望したような声でこんぱるが呟いた。大きな目は丸く見開かれていて、静かに魅夜の頬を映している。