「……うん、それ以上はいいから」

「大地……」

「俺のこと、莉子は好きでもなんでもないだろ。ただの幼なじみってやつだろ?わかってるから。……つーか、まぁあれだ!俺もそこまで本気じゃねぇから。冗談だよ冗談!まさか泣かれると思わなかったけど……。悪かったな、からかって。だから気にすんなよっ!」


私の言葉を遮って、冗談だと言い張る。

だけど、知ってるよ。

その気持ちが、冗談じゃないってこと。

本気で言ってくれてたってこと。

だって、大地。嘘つくとか、そういうことできない人じゃん。

嘘つく時に目を逸らしながら鼻を触る癖、気付いてないの?

今、耳まで真っ赤になってること気付いてないの?

大地が冗談で言ってるのか本気で言ってるのかくらい、私はわかるよ。

だって幼なじみじゃん。ずっと一緒にいたじゃん。わかるよ。わかるに決まってんじゃん。

──だけど。


「……そ、っか。うん、わかった……。私もびっくりして……泣いちゃって、ごめん……」


それが嘘だと分かっていながら頷く私は、最低だ。