「……泣くほど嫌だったか？」


私の涙を見つめながら、グッと手を伸ばして指で拭ってくれる。

真剣さから切なさへと変わったその表情に胸を痛めながら、首を横に振った。


「そうじゃない……」

「じゃあ、なんで泣くんだよ」


そうじゃないんだよ。ただ私は、


「……び、っくりして……」


嬉しいんだよ。

大地は戸惑う私に目を見開いた後に、滲むような笑顔を見せた。

その笑顔が綺麗で、愛おしくてたまらなくて。

嬉しい。嬉しくて死んでしまいそう。

私も、私も大地のことが──。

喉の辺りまで言葉が出かかって、すんでのところでそれを飲み込む。

──私は、大地の気持ちに応えることができない。


「……ごめん大地」

「ん？」

「私、私ね？……」


言わなきゃ。そう思えば思うほど喉が詰まったように感じて、やっぱり言葉が出ない。