頭上では花火が何度も打ち上がっている。それなのに、音も匂いも風も何も感じなくなった。

目の前にいる大地だけが見えて、大地が発する言葉だけが耳に届く。


「莉子のこと、昔からずっと好きだった」

「な……え……」


ギュッと握られる手。それは、緊張しているからなのか酷く冷たくて。

だけど、大地の顔が真っ赤に染まっているのはわかる。

花火の灯りのせいかと思ったけど、暗くなっても赤いままだからそうじゃないみたい。


「好きだ」


大地は理解できずに戸惑う私に何度も言葉をくれる。

だけど、私の頭はまだそれをうまく処理してくれなくて。


「だ、いち……今なんて……」

「んだよ、これ以上言わせる気かよ……」


照れくさそうに、だけど嬉しそうに。


「莉子が好きだ」


そう優しい笑顔で言われた時、涙が滲んでこぼれ落ちた。