「……なぁ、莉子」

「んー?」

「……」

「ふふ、なに、今度は大地の番?」


仕切り板を挟んだ向こう。今度は大地が口篭り、私が茶化す。

だけど大地は何かを誤魔化すわけでもなく、静かに言葉を紡ぐ。


「俺……さ。莉子のこと……」

「……え?」


私?

聞き返した瞬間。

バアアアン!と、夜空に華が咲いた。


「あ……始まった……」


大地の方を向いていた目が、自然と夜空に移動する。
だけど、


「莉子」

「え?」


仕切り板の向こうから手を伸ばしてきた大地の手で、私の顔は大地の方に戻された。


「なに……」

「……聞いて」


大地は、やけに真剣な瞳をしていた。

それは今までに見たことがないくらいで、だけどその真剣さの奥には不安が揺れているようにも見えて驚いた。

その横顔をカラフルに照らす、花火の灯り。

そのコントラストがとても綺麗で、思わず息を呑む。


「俺は、莉子のことが……好きだ」


その言葉を聞いた瞬間、時が止まったような気がした。