「……ねぇ、大地」

「ん？どうしたー？」

「……あの……」


今なら言えるような気がして話しかけてみるものの、うまく言葉が出てこなくて口籠る。

そんな私に、大地は


「なんだよ急に改まって。まさか俺に告るつもりか？」


とからかってきて、


「ははっ……そんなわけないじゃん馬鹿」


私もそれに便乗して笑いに変えた。


「じゃあなんだよ」

「うん。……また今度言うよ」


結局言葉にすることはできずに、逃げた私。

その"今度"が来ないことくらい、わかっているのに。

私が一番わかっているのに。


「んだよ、変な話じゃねーだろうな？なんか怖いんだけど」


そうやって茶化す大地に笑って誤魔化す私は、多分卑怯だ。