「だから、一緒にいられるのは、今日が最後」


心臓にグッと力を入れて、笑顔を作る。


「……んだよそれ。なんだよそれっ!?」


大地の叫びは、花火の音にも負けないくらいに大きくて。

大地の目から落ちる雫が暗闇に沈んだ瞬間。

それを照らすように、今日一番の大輪の花火が咲いた。

信じられないとばかりに私を見ながら何度も首を横に振る大地は、


「なんで今になって……もっと言うタイミングなんてあっただろ……」


私の手を握って、動揺したようにぽつりと言葉をこぼす。


「うん。ずっと言わなきゃって思ってたんだけど、言わなきゃって考えたら、逆に言えなくなって……」

「なんっだよそれ……ふざけんなよ……」

「ごめんね大地」

「ふざけんなよ……どうすりゃいいんだよっ……!」


今にもこの仕切り板を蹴飛ばしてしまいそうなくらい、大地は苛立っていた。

当たり前だ。告白した相手に、明日引っ越すと言われたんだから。

もっと早く言うタイミングなんて、大地の言うとおりいくらでもあった。

だけど、言い出せなかったのは私が弱かったから。

大地に知られたくなかったのかもしれない。

大地が知らないうちに引っ越してしまった方が楽なんじゃないかって思った。

だけど、それは大地を傷つけるだけじゃないかと思ったら、それもできなくて。

結局こうやって大地を傷つけてしまって、こんな顔をさせて、泣かせてしまって。私は本当に馬鹿だ。本当に最低だ。