「唯菜、何か食べる?」
「んー、じゃあスープ」
冷凍してあるコンソメスープを作って寝室に持って行った。
「ありがとう」
「熱は?」
おでこに手を当てると少し熱いような気がした。
「風邪薬飲む?」
「……やめとく」
「何で?しんどいなら飲まなきゃ」
ふぅと唯菜はため息をついた。
「指輪も今日は見に行くのやめる、ごめんね」
「いいよ、いつでも行けるから」
それから夜まで唯菜は寝室から出てくる事はなかった。
「奏多」
唯菜の声がして奏多は部屋のドアを開けた。
あっ、もうこんな時間か……
プラモデル作りに夢中になってしまっていた。
「うどん作ったから食べて」
「あっ、ごめんな、ありがとう、唯菜は?」
「少しもらう」
奏多は唯菜の肩を抱いてダイニングに行った。
唯菜と出会ってからこんなに体調の悪いのは見たことがない。
一緒に住んでいるからわかることだ。
唯菜はお椀1杯のうどんを食べた。
「奏多、お願いがあるの、明日買い物に行ってきて欲しい」
「いいよ」
次の日唯菜から買ってくるもののリストが渡された。
「えっ、唯菜これって……」
リストの1番上にあったのは妊娠検査薬だった。
「生理……きてないの」
「俺、ゴムつけて……あっ……」
あの日……
「うん、多分あの時だと思う」
「ごめん」
「ううん、もし出来てたら嬉しい事だし、謝らないで」
プロポーズした日からも何度も抱いているのに、あの日だけは強引に唯菜を抱いた。
夢中だった……感情がたかぶってしまった