家に帰って3件の資料をもう一度見直す。
「唯菜……」
「何?」
お風呂から出てきた奏多が唯菜の隣に座る。
「1部屋空き部屋っていっただろ?」
「うん」
「決定じゃないけど弟が上京してきた時に泊まらせたいと思ってる」
「弟さん、沖縄にいるんだよね」
「うん、春から出張が多くなるって言ってて、だから……ごめん」
「普通に言ってくれてよかったのに、それなら客間として部屋を空けとこうね」
「ありがとう」
しばらくすると4月の異動が発表された。
富田くんが神奈川支店に転勤になっていた。
それでか……昼休みに同期の女子3人でランチをした。
「異動を打診されてたから横浜で式をするの?」
「うん、まあ向こうの実家もあるし、打診というか、こっちから異動願いを出したの」
「どういう事?」
「お義父さんが体の調子が悪くて近くに住もうと2人で決めたんだー」
「でも歩美は通勤時間が長くなるじゃん?」
「うん、でも子供も早く欲しいから出来たら辞めるつもりよ」
「仕事は続けないの?産休とか」
「まだ決めてない、子育てが落ち着いてから近くでパートでもいいしね」
同期も3人しか残ってないねと美嘉(みか)に言われた。
「そうね」
「2人は結婚の予定はないの?」
歩美に聞かれた。
「ないかな、その前に彼氏よ」
美嘉はすぐ答えていた。
「唯菜は?」
「まあ、私も同じね」
奏多と付き合ってるって言えないし……
「唯菜なんて彼氏すぐできるでしょ、美人だし、家事もできるし」
「そんな事ないよ(笑)」
時間になり、また話そ〜と3人は別れた。