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 少しの頭痛を感じて僕は目をうっすらと開けた。カーテンの隙間から一本の線のように差し込んでいる朝日が眩しい。

「んんん……」

 なんだか身体のあちこちが痛い。うつ伏せで寝ていたからかもしれない。

「ん?」

 いつもは布団をしいて寝ているのだが、なぜかこの日はソファーで寝てしまったらしい。何かがおかしいのは感じていたが、起きてすぐでその違和感を特定することは出来なかった。

「ん……」

 固まった身体を伸びをしてほぐしながら目をこする。
 
 視界に入ってきた光景に僕は硬直した。
 少し離れたところに布団がしいてあって、女性が寝ている。朝日が首元を照らしていて、すけるように白い肌が輝いていた。

 蘭先輩だった。そうだ。今さらだが、蘭先輩は色が白い女性だった。

 嫌な予感がして、僕は慌てて自分の毛布の中を探った。よかった。ちゃんと履いている。まあ、別々に寝ているのだからそうだろう。

 それにしても、昨日の晩は……。

 慌てて記憶を手繰り寄せる。

 金曜の夜だったので、いつものメンバーで飲んでいたのを思い出す。楽しく飲んでいたのはいつもと同じ。だが、昨日は珍しく蘭先輩がベロベロに酔っ払ったのだ。確か。

「お前送っていけや。俺たちはまだ飲むから」

 亘先輩に言われて、僕は蘭先輩を一人で帰すことは出来ず、しぶしぶ彼女を送ることになったのだった。