仕事を終えた俺は、奈々と一緒に新宿にある日本ダンジョン協会へ赴いた。
ここにきたのはいつぶりだろう。
4年ほど前に俺がAランクのモンスターから得たアイテムの数々を買い取ってもらいにい行った事があるが、
『そんな嘘が通じるわけないだろ!Aランクのモンスターを未成年者のお前が一人で倒す?ふざけんな!今すぐ警察を呼んでくるから、待っていろ!ったく最近多いんだよな。アイテムを盗んで、それを売ろうとするクソガキどもが』
受付のお兄さんにこっぴどく叱られてからは一度も行ってない。
所詮妹以外は誰も信じてくれないだろうから。
だが、俺の隣には奈々がいる。
「あの子、まじかわいくない?」
「グラドルじゃない?」
「隣にいる男って彼氏かな?」
「距離めっちゃ近いし、雰囲気的には彼氏かな?」
「男は地味だけど、おしゃれしたら格好良さそう」
道端を歩く俺たちを見て通りすがりの人たちがコソコソ喋り出した。
「……」
奈々は断続的に俺に肩をぶつけてきている。
わざとじゃないと思うけど、多くの男達を勘違いさせてきたこと請け合い。
「あのさ……やっぱりやめようぜ。俺、中卒だからきっと追い出されるって」
「いいの。私が知りたいから」
「……」
奈々は譲らなかった。
俺の属性を知るのがそんなに重要なのだろうか。
そういえば、俺はこれまで自分がどれだけ強いのかを確かめたことがないな。
妹は口が酸っぱくなるほど俺のことを褒めてくれるが、それ以外の人に俺の能力を評価してもらえたことは一度もない。
まあ、別に大したことないだろう。
そんなことを思っていると、日本ダンジョン協会の建物が見えてくる。
中に入って、受付カウンターを見てみたら、あの時俺に暴言を吐いたお兄さんがいた。
そろそろ営業時間が終わるころだから、お兄さんは俺たちの足音を聞いて面倒臭そうに睨んできた。
が、
「あ、」
俺たちを見て口を半開きにして固まってしまった。
やがて身震いしながら訊ねてくる。
「い、いらっしゃいませ……ななな、なんのご用でしょうか」
彼の問いに奈々が俺を指差して答える。
「ここにある属性探知機を使って、この人の属性を調べたいの」
「かかかかかかしこまりました!!」
オドオドする彼の様子を見て奈々がキョトンと小首をかしげる。
「何?その態度?てっきり文句言いながら断ってくると思っていたのに」
奈々がジト目を受付のお兄さんに向けてきた。
「ももも文句を言うなんて……あの伝説とまで言われた躑躅健太郎様の娘であるあなたに……」
「……パパの話はしないで」
奈々が急に暗い表情になった。
父と何かあったのだろうか。
「も、申し訳ございません……それに……」
受付のお兄さんは俺と奈々を交互に見たのち、俺の方へやってきて急に土下座した。
「しょしょしょ……伝説の拳様!!4年前の俺が働いた無礼……どうか許してくだい……」
「え?裕介?どう言うこと?」
あまりにも突然すぎるお兄さんの行動に奈々が目を丸くして視線で俺に説明を求めてきた。
なので俺は4年前の出来事を奈々に話と、彼女は殺す勢いで受付のお兄さんを睨んでいた。
「ふん〜そういうことがあったのね」
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみません……」
受付のお兄さんは俺と奈々にペコペコしながら謝る。
俺にクソガキと叫んだ時の勢いは鳴りを潜め、腰の骨がすり減るほど謝る受付のお兄さん。
彼女は相当怒っているようであった。
なぜ怒るんだろう。
とりあえず、落ち着いてもらおう。
「ま、まあ……属性探知機使っていいと言ってるし、早く測りに行こう」
俺は無意識の内に奈々の肩に手を乗せて言うと、奈々は一瞬ビクッとなって返事をする。
「うん……」
顔こそ少し赤いけど、納得しているようには見えない。
受付のお兄さんは、地下にある倉庫に俺たちを連れて行ってくれた。
奈々曰く、属性探知機は最先端魔法技術が使われ、厳しい監視の下で運用されるらしい。
形は大きな地球儀に似ていて、透明な水晶が鎮座している。
直径3メートルほどはあるから、これを移すことも一苦労だろう。
「使い方は簡単です。ここに手をかざして魔力を注入してください。そうすれば魔力探知機が属性に合った光を発してくれるはずです。属性の強さも測られますので、もうダメと感じるほど強力な魔力を流してください」
「……はい」
俺は言われるがまま、受付のお兄さんが指し示した所に手をかざした。
面倒臭いから早く済ませておこう。
俺は目を瞑って魔力を注ぎ込んだ。
そしたら早速水晶が反応した。
青、黄色、赤、青、紫、などなど。
ありとあらゆる光が領有権争いをするように広がたり縮んだりを繰り返しながら
やがて一つの真っ白な光になり
まるで閃光のように眩しい光を放ち続ける。
「し、白だと!?」
受付のお兄さんが目玉が飛び出るほど驚いている。
俺はそんなお兄さんをスルーしてしばし魔力を注入していると、
魔力探知機に亀裂が生じ始めた。
そして、魔力探知機は
破壊されてしまう。
真っ二つに割れたわけではなく、ミキサーにかけたように粉末と化して、床に積もってしまった。
幸いな事に、俺が防御幕を張ったから怪我人は出なかったものの……
「な、なんだこりゃ……」
粉々になった魔力探知機を見て俺は頭をかきながら困り顔でいたら
「っ!!」
奈々が腰が抜けたらしく、そのまま尻餅をついた。
彼女は全身を震わせており、足を開いているので、ピンク色のパンツが丸見えだ。
「奈々……大丈夫か?」
俺は奈々に近づいて手を伸ばした。
だが、奈々は俺の手を掴むことをせず、頬をピンク色に染めて感動したような表情を浮かべる。
「白い色は全属性……つまり、裕介は全ての属性を持っているという事……しかも、魔力探知機が壊れて粉々になるほど強力なマナも持っている……」
「え?俺が全属性持ち!?嘘だろ……」
「……」
奈々は口をぽかんと開けて、俺の顔を見てから下半身をじっと見つめてきた。
「ほ、本当に申し訳ございません!ここここんなすごいお方に向かってクソガキと罵ったあの時の俺を殺したい……うわあああ!!!!」
受付のお兄さんは土下座しながら額を地面にぶつけてきた。
いや、待て。
属性探知機を壊したから謝らないといけないのは俺だろ。
相変わらず床に座り込んでパンツを隠す事なく頬をピンクに染めて俺に熱い視線を向けてくる奈々。
土下座しながら血が出るほど地面に額をぶつけるお兄さん。
なかなかシュールな光景に俺は口をぽかんと開けて立ち尽くしている。
ここにきたのはいつぶりだろう。
4年ほど前に俺がAランクのモンスターから得たアイテムの数々を買い取ってもらいにい行った事があるが、
『そんな嘘が通じるわけないだろ!Aランクのモンスターを未成年者のお前が一人で倒す?ふざけんな!今すぐ警察を呼んでくるから、待っていろ!ったく最近多いんだよな。アイテムを盗んで、それを売ろうとするクソガキどもが』
受付のお兄さんにこっぴどく叱られてからは一度も行ってない。
所詮妹以外は誰も信じてくれないだろうから。
だが、俺の隣には奈々がいる。
「あの子、まじかわいくない?」
「グラドルじゃない?」
「隣にいる男って彼氏かな?」
「距離めっちゃ近いし、雰囲気的には彼氏かな?」
「男は地味だけど、おしゃれしたら格好良さそう」
道端を歩く俺たちを見て通りすがりの人たちがコソコソ喋り出した。
「……」
奈々は断続的に俺に肩をぶつけてきている。
わざとじゃないと思うけど、多くの男達を勘違いさせてきたこと請け合い。
「あのさ……やっぱりやめようぜ。俺、中卒だからきっと追い出されるって」
「いいの。私が知りたいから」
「……」
奈々は譲らなかった。
俺の属性を知るのがそんなに重要なのだろうか。
そういえば、俺はこれまで自分がどれだけ強いのかを確かめたことがないな。
妹は口が酸っぱくなるほど俺のことを褒めてくれるが、それ以外の人に俺の能力を評価してもらえたことは一度もない。
まあ、別に大したことないだろう。
そんなことを思っていると、日本ダンジョン協会の建物が見えてくる。
中に入って、受付カウンターを見てみたら、あの時俺に暴言を吐いたお兄さんがいた。
そろそろ営業時間が終わるころだから、お兄さんは俺たちの足音を聞いて面倒臭そうに睨んできた。
が、
「あ、」
俺たちを見て口を半開きにして固まってしまった。
やがて身震いしながら訊ねてくる。
「い、いらっしゃいませ……ななな、なんのご用でしょうか」
彼の問いに奈々が俺を指差して答える。
「ここにある属性探知機を使って、この人の属性を調べたいの」
「かかかかかかしこまりました!!」
オドオドする彼の様子を見て奈々がキョトンと小首をかしげる。
「何?その態度?てっきり文句言いながら断ってくると思っていたのに」
奈々がジト目を受付のお兄さんに向けてきた。
「ももも文句を言うなんて……あの伝説とまで言われた躑躅健太郎様の娘であるあなたに……」
「……パパの話はしないで」
奈々が急に暗い表情になった。
父と何かあったのだろうか。
「も、申し訳ございません……それに……」
受付のお兄さんは俺と奈々を交互に見たのち、俺の方へやってきて急に土下座した。
「しょしょしょ……伝説の拳様!!4年前の俺が働いた無礼……どうか許してくだい……」
「え?裕介?どう言うこと?」
あまりにも突然すぎるお兄さんの行動に奈々が目を丸くして視線で俺に説明を求めてきた。
なので俺は4年前の出来事を奈々に話と、彼女は殺す勢いで受付のお兄さんを睨んでいた。
「ふん〜そういうことがあったのね」
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみません……」
受付のお兄さんは俺と奈々にペコペコしながら謝る。
俺にクソガキと叫んだ時の勢いは鳴りを潜め、腰の骨がすり減るほど謝る受付のお兄さん。
彼女は相当怒っているようであった。
なぜ怒るんだろう。
とりあえず、落ち着いてもらおう。
「ま、まあ……属性探知機使っていいと言ってるし、早く測りに行こう」
俺は無意識の内に奈々の肩に手を乗せて言うと、奈々は一瞬ビクッとなって返事をする。
「うん……」
顔こそ少し赤いけど、納得しているようには見えない。
受付のお兄さんは、地下にある倉庫に俺たちを連れて行ってくれた。
奈々曰く、属性探知機は最先端魔法技術が使われ、厳しい監視の下で運用されるらしい。
形は大きな地球儀に似ていて、透明な水晶が鎮座している。
直径3メートルほどはあるから、これを移すことも一苦労だろう。
「使い方は簡単です。ここに手をかざして魔力を注入してください。そうすれば魔力探知機が属性に合った光を発してくれるはずです。属性の強さも測られますので、もうダメと感じるほど強力な魔力を流してください」
「……はい」
俺は言われるがまま、受付のお兄さんが指し示した所に手をかざした。
面倒臭いから早く済ませておこう。
俺は目を瞑って魔力を注ぎ込んだ。
そしたら早速水晶が反応した。
青、黄色、赤、青、紫、などなど。
ありとあらゆる光が領有権争いをするように広がたり縮んだりを繰り返しながら
やがて一つの真っ白な光になり
まるで閃光のように眩しい光を放ち続ける。
「し、白だと!?」
受付のお兄さんが目玉が飛び出るほど驚いている。
俺はそんなお兄さんをスルーしてしばし魔力を注入していると、
魔力探知機に亀裂が生じ始めた。
そして、魔力探知機は
破壊されてしまう。
真っ二つに割れたわけではなく、ミキサーにかけたように粉末と化して、床に積もってしまった。
幸いな事に、俺が防御幕を張ったから怪我人は出なかったものの……
「な、なんだこりゃ……」
粉々になった魔力探知機を見て俺は頭をかきながら困り顔でいたら
「っ!!」
奈々が腰が抜けたらしく、そのまま尻餅をついた。
彼女は全身を震わせており、足を開いているので、ピンク色のパンツが丸見えだ。
「奈々……大丈夫か?」
俺は奈々に近づいて手を伸ばした。
だが、奈々は俺の手を掴むことをせず、頬をピンク色に染めて感動したような表情を浮かべる。
「白い色は全属性……つまり、裕介は全ての属性を持っているという事……しかも、魔力探知機が壊れて粉々になるほど強力なマナも持っている……」
「え?俺が全属性持ち!?嘘だろ……」
「……」
奈々は口をぽかんと開けて、俺の顔を見てから下半身をじっと見つめてきた。
「ほ、本当に申し訳ございません!ここここんなすごいお方に向かってクソガキと罵ったあの時の俺を殺したい……うわあああ!!!!」
受付のお兄さんは土下座しながら額を地面にぶつけてきた。
いや、待て。
属性探知機を壊したから謝らないといけないのは俺だろ。
相変わらず床に座り込んでパンツを隠す事なく頬をピンクに染めて俺に熱い視線を向けてくる奈々。
土下座しながら血が出るほど地面に額をぶつけるお兄さん。
なかなかシュールな光景に俺は口をぽかんと開けて立ち尽くしている。