『現在、血の女王と言われるテロ組織のトップとその配下のものが、多くの人の命を奪いました。現在は被害状況を調べているところであります』
総理の言葉にLEDパネルを見ているおっさんが早速突っ込んでくる。
「てめえら特権階級のものだけがくたばっただろ?ざまみろや!!あははは!!」
ゲラゲラ笑うおっさんに影響され、他の人も釣られる形で笑い始める
「あはは!!てめえらは殺されるべくして殺されたんだよ!」
「多くの人って言ってるけど、既得権益って言ったら?」
「自信がないのよ!多くの人って言った方が誤魔化しやすいでしょ?」
「うははは!!」
「あはははは!!」
完全に総理はここにいる人々になめられている。
『テロは、絶対許されない行為です。もし、これを許してしまえば、この国はカオスと化し、衰退の一途を辿ることでしょ』
と、悔しそうな顔で言う総理。
だが、みんなが彼にばかにしくさった視線を向ける。
「血の女王がいれば、あんたらが安心して甘い汁吸えなくなるから、衰退の一途をたどるんじゃなくて?」
「それな!」
「あはは!図星!」
「自分の懐を肥やせないからあんなに悔しがってるん?」
「血の女王様、あの総理も殺したりしないかな?」
「殺しても構わんだろ?だって、いなくなってもこの国は回るから」
ヤジを飛ばすみんな。
総理はというと、
随分と言いたくなさそうな顔で重たい口を動かす。
『だけど、こんな悲劇が起きたのは、血の女王一人のせいにするのは筋違いだと思います。これまで差別を助長させるようなルールや慣習を変えなかった私、国会医議員を含め、ダンジョン協会のお偉い方々にも非がございます。ですので、私は国民の皆様に約束をします』
言って総理は息を深く吸って悲壮感漂う面持ちで言う。
『特定の集団や組織が良い依頼を独占することを禁止する法案を作ります。そして、能力者が無能力者を侮辱したり暴力を振るった時に重い罰を受けるように差別禁止法を制定します。それと……学歴関係なく能力あるものは誰でも探索者になれるようにダンジョン法令を改定いたします』
「おお……」
驚いた。
まさか、蘭子さんと俺が理不尽だと思っていることへの解決策をこの総理は示したのだ。
最初からできるなら、テロが起きる前に言っても良いじゃないか。
裏切られた気分だ。
俺がこれまで理不尽だと思っていたこと。
きっと解決されるのには数年、いや、何十年は軽く超えるだろう。
そう思いっていたが、
蘭子さんが暴れてから数日経ったと言うのに、あっさりと解決に向かっているのだ。
「なんだ!最初からそうすれば良いだろ!!」
「学んだ人たちって、実はみんな馬鹿だったりするの?」
「まあ、口だけなら血の女王様に殺されるんだろうね」
「血の女王様の言葉を聞くのが身のためだろうな。じゃないと全部奪われてしまうから」
どうやら、みんなも俺と似たような考えをしているようだ。
まだ総理含む偉い人たちを信用しているわけではないが、少なくとも国の行政におけるトップがああいうふうに公言しているわけだから、嘘ではないだろう。
だが、油断大敵。
彼らは信頼の対象ではなく、監視の対象だ。
俺が若干安堵していると、若い男の子が俺に羨望の眼差しを向けてきた。
「伝説の拳様……本当にありがとうございます!」
いきなり感謝の言葉を言われ、俺がキョトンとしたら、彼が続きを言ってくれる。
「僕、スキルは使えるんですけど、中卒なので、でんこさまと同じく無能力者扱いっす。だけど、これで僕も探索者になれて、いい依頼を受けて金をたくさん稼げます……本当にありがとうございます!」
「よかったですね」
「はい!これで、お父さんの病院代も心配なしです!」
明るく笑う彼の顔を見ていると、どうしても俺の頬が緩んでしまう。
そんな俺に羨望の眼差しを向ける彼。
「やっぱり、強い男には綺麗でかわいい女の人たちがやってくるものだなって……本当に尊敬していますよ!」
「ん?何を言ってるんですか?」
俺が目を細めて問うと、彼はとても明るい情報を向けて説明を始める。
「いや〜奈々さんが熱かったですよね〜」
「ん?奈々?」
彼は嬉しそうに自分のスマホを取り出して数回タッチしたのち俺に渡す。
動画だ。
タイトルは
『奈々ちゃんのでんこさまへの想いが熱(怖)すぎる件(切り取り)』
俺を不安にさせるに足るタイトルだ。
手が震えてきたが、スマホを渡された手前、見ないわけはいかない。
『はあ?でんこ様に想いを寄せるアイドルがいるんだと?』
視聴者が投げてきたスパチャのコメントに反応した奈々。
いきなり目の色がヤバくなり、低いトーンで言う。
『別に、想いを寄せても、それは本人の自由じゃん。そう。自由。じいいいいゆううううだよ。はあ?私が怒ってるって?まじ何言ってんの?私、怒ってないんだけど?煽ったらブロックするから、あんま調子乗らないで。あ、ちなみにそのアイドルって名前教えてくんない?』
奈々……
やめろ……
視聴者に対して何たる態度だ!?
あれ?
むしろ視聴者たちは喜んでる。
なかなかシュールな動画を見た俺は鳥肌が立った。
「似合ってますよ。でんこ様」
「……」
俺は彼にスマホを渡して足速に歩き出した。
「あっ!でんこ様!!」
だけど、彼はまた俺に話したいことがあるらしい。
なので俺は半身になって彼を見ていると、
彼はサムズアップしてくれた。
「ありがとうございます!」
言われて俺もまた
彼にサムズアップした。
躑躅家へと向かう道中、俺は友梨姉と奈々があげた動画を見ている。
どちらも、俺の肩を持つような内容だ。
俺の肩を持つ人が多いのも、二人のおかげかもしれない。
圧倒的知名度を誇るインフルエンサーの発言は、ニュースをも上回るのだ。
だから、奈々には注意する必要がある。
視聴者は遊び半分の気持ちで煽っているだけなのに、奈々はまんまと嵌められる。
ちゃっかりしているから、視聴者を手玉に取る子なのにな。
なのに、なんであんな奈々らしくないことを言うんだろう。
そんなことを思いながら、俺はみんなのいるタワーマンションへと向かった。
追記
次回はヒロインのかわいい姿が見れます!
星4000突破です!
嬉しい!
ありがとうございます!
総理の言葉にLEDパネルを見ているおっさんが早速突っ込んでくる。
「てめえら特権階級のものだけがくたばっただろ?ざまみろや!!あははは!!」
ゲラゲラ笑うおっさんに影響され、他の人も釣られる形で笑い始める
「あはは!!てめえらは殺されるべくして殺されたんだよ!」
「多くの人って言ってるけど、既得権益って言ったら?」
「自信がないのよ!多くの人って言った方が誤魔化しやすいでしょ?」
「うははは!!」
「あはははは!!」
完全に総理はここにいる人々になめられている。
『テロは、絶対許されない行為です。もし、これを許してしまえば、この国はカオスと化し、衰退の一途を辿ることでしょ』
と、悔しそうな顔で言う総理。
だが、みんなが彼にばかにしくさった視線を向ける。
「血の女王がいれば、あんたらが安心して甘い汁吸えなくなるから、衰退の一途をたどるんじゃなくて?」
「それな!」
「あはは!図星!」
「自分の懐を肥やせないからあんなに悔しがってるん?」
「血の女王様、あの総理も殺したりしないかな?」
「殺しても構わんだろ?だって、いなくなってもこの国は回るから」
ヤジを飛ばすみんな。
総理はというと、
随分と言いたくなさそうな顔で重たい口を動かす。
『だけど、こんな悲劇が起きたのは、血の女王一人のせいにするのは筋違いだと思います。これまで差別を助長させるようなルールや慣習を変えなかった私、国会医議員を含め、ダンジョン協会のお偉い方々にも非がございます。ですので、私は国民の皆様に約束をします』
言って総理は息を深く吸って悲壮感漂う面持ちで言う。
『特定の集団や組織が良い依頼を独占することを禁止する法案を作ります。そして、能力者が無能力者を侮辱したり暴力を振るった時に重い罰を受けるように差別禁止法を制定します。それと……学歴関係なく能力あるものは誰でも探索者になれるようにダンジョン法令を改定いたします』
「おお……」
驚いた。
まさか、蘭子さんと俺が理不尽だと思っていることへの解決策をこの総理は示したのだ。
最初からできるなら、テロが起きる前に言っても良いじゃないか。
裏切られた気分だ。
俺がこれまで理不尽だと思っていたこと。
きっと解決されるのには数年、いや、何十年は軽く超えるだろう。
そう思いっていたが、
蘭子さんが暴れてから数日経ったと言うのに、あっさりと解決に向かっているのだ。
「なんだ!最初からそうすれば良いだろ!!」
「学んだ人たちって、実はみんな馬鹿だったりするの?」
「まあ、口だけなら血の女王様に殺されるんだろうね」
「血の女王様の言葉を聞くのが身のためだろうな。じゃないと全部奪われてしまうから」
どうやら、みんなも俺と似たような考えをしているようだ。
まだ総理含む偉い人たちを信用しているわけではないが、少なくとも国の行政におけるトップがああいうふうに公言しているわけだから、嘘ではないだろう。
だが、油断大敵。
彼らは信頼の対象ではなく、監視の対象だ。
俺が若干安堵していると、若い男の子が俺に羨望の眼差しを向けてきた。
「伝説の拳様……本当にありがとうございます!」
いきなり感謝の言葉を言われ、俺がキョトンとしたら、彼が続きを言ってくれる。
「僕、スキルは使えるんですけど、中卒なので、でんこさまと同じく無能力者扱いっす。だけど、これで僕も探索者になれて、いい依頼を受けて金をたくさん稼げます……本当にありがとうございます!」
「よかったですね」
「はい!これで、お父さんの病院代も心配なしです!」
明るく笑う彼の顔を見ていると、どうしても俺の頬が緩んでしまう。
そんな俺に羨望の眼差しを向ける彼。
「やっぱり、強い男には綺麗でかわいい女の人たちがやってくるものだなって……本当に尊敬していますよ!」
「ん?何を言ってるんですか?」
俺が目を細めて問うと、彼はとても明るい情報を向けて説明を始める。
「いや〜奈々さんが熱かったですよね〜」
「ん?奈々?」
彼は嬉しそうに自分のスマホを取り出して数回タッチしたのち俺に渡す。
動画だ。
タイトルは
『奈々ちゃんのでんこさまへの想いが熱(怖)すぎる件(切り取り)』
俺を不安にさせるに足るタイトルだ。
手が震えてきたが、スマホを渡された手前、見ないわけはいかない。
『はあ?でんこ様に想いを寄せるアイドルがいるんだと?』
視聴者が投げてきたスパチャのコメントに反応した奈々。
いきなり目の色がヤバくなり、低いトーンで言う。
『別に、想いを寄せても、それは本人の自由じゃん。そう。自由。じいいいいゆううううだよ。はあ?私が怒ってるって?まじ何言ってんの?私、怒ってないんだけど?煽ったらブロックするから、あんま調子乗らないで。あ、ちなみにそのアイドルって名前教えてくんない?』
奈々……
やめろ……
視聴者に対して何たる態度だ!?
あれ?
むしろ視聴者たちは喜んでる。
なかなかシュールな動画を見た俺は鳥肌が立った。
「似合ってますよ。でんこ様」
「……」
俺は彼にスマホを渡して足速に歩き出した。
「あっ!でんこ様!!」
だけど、彼はまた俺に話したいことがあるらしい。
なので俺は半身になって彼を見ていると、
彼はサムズアップしてくれた。
「ありがとうございます!」
言われて俺もまた
彼にサムズアップした。
躑躅家へと向かう道中、俺は友梨姉と奈々があげた動画を見ている。
どちらも、俺の肩を持つような内容だ。
俺の肩を持つ人が多いのも、二人のおかげかもしれない。
圧倒的知名度を誇るインフルエンサーの発言は、ニュースをも上回るのだ。
だから、奈々には注意する必要がある。
視聴者は遊び半分の気持ちで煽っているだけなのに、奈々はまんまと嵌められる。
ちゃっかりしているから、視聴者を手玉に取る子なのにな。
なのに、なんであんな奈々らしくないことを言うんだろう。
そんなことを思いながら、俺はみんなのいるタワーマンションへと向かった。
追記
次回はヒロインのかわいい姿が見れます!
星4000突破です!
嬉しい!
ありがとうございます!