理恵を立派な人間に育てる。
理恵を守る。
それこそが俺の行動理念。
理恵のためなら俺はなんだってできる。
そう思っていた。
だけど、花隈育成高校に行くための学費を俺一人の力で用意することはできなかった。
いくら強くなっても、のしかかってくる現実という壁に俺は空回りばかりしてきた。
しかし、
俺は友梨姉と奈々に出会ってから人生が変わった。
二人と早苗さんが向けてくる視線。
甘い言葉。
守られたいことを強く願う面持ち。
彼女らを見ていると、うちなる自分が彼女んらに甘えたいと守ってあげたいと叫ぶ。
それにしてもなんで俺は眠ってしまったんだ。
人の家で寝るなんて、俺らしからぬ行動だ。
本当に俺はこの広い家を我が家だと認識しているのか。
いや、調子に乗んな祐介。
お前は理恵のことをだけの気にしろ。
自分を戒めると、頭が冴えてきた。
「ん……」
ここは一体どこなんだろう。
照明がついてない部屋は窓越しに差し込んでくる斜陽に照らされている。
広い部屋だ。
俺はベッドの上で横になっている。
そして、俺の後頭部に大きなマシュマロに包まれているような不思議な感じがする。
まるで異世界にいるようで宇宙の中を飄々と漂う開放感が俺の体を駆け巡る。
目を開けてみた。
そしたら、とてつもなく大きな二つの塊が俺の視界を遮った。
それと同時に、俺の鼻を刺激する名状し難い香りが漂ってくる。
「あら、祐介くん。やっと起きましたか」
「早苗さん……」
巨大な二つの塊から顔を出したのは早苗さんだった。
よくみたら、バスローブだけ羽織っている。
「こ、これは一体……理恵、理恵は!」
理恵のことが心配になり俺が立ちあがろうとしたが、早苗さんは微笑んで細い手を使い、俺を優しく制止する。
「理恵ちゃんは隣の部屋に娘たちと一緒にいますよ。その気になれば、いくらでも元気な妹の顔が見れますので、安心してください」
「そうですか」
「はい。私は祐介くんに嘘はつきません」
「よかった」
俺が安堵のため息をついていると、バスローブ姿の早苗さんが俺の頭を撫でてきた。
「あの……早苗さん」
「なに?」
「なんで俺の頭を……ていうかこの姿勢ってなんですか?」
「膝枕ですよ。祐介くんを私の膝に乗せてたっぷり甘やかしているところです」
「……」
大人気女優の早苗さんが、俺なんかにこんなことしていいのか。
映画関係者やマスコミの人が知ったら偉いことになってしまう。
「大丈夫ですか?早苗さんは人気女優で……」
「ふふ、そんなこと気にするんだ。大丈夫ですよ。私の願いが叶えば、この姿を誰かに見られても別に構いません。むしろ、見てほしいくらいだから」
「っ」
妖艶な表情の早苗さんの口から発せられた言葉は俺の脳に電気を走らせる。
気になることがある。
願い。
一体何を指すのだろうか。
「願いって」
「ふふ、私の願い、気になりますか?」
そりゃ、気になりすぎるだろ。
「気になります」
早苗さんは嬉しそうに微笑んでから頭を下げて、俺の目を直視した。
彼女の緑色の瞳が俺の戸惑う姿を鮮明に映している。
「願い……それは、祐介くんと理恵ちゃん、そして私と娘たちが幸せになれる唯一の道」
「唯一の道……」
「はい。それはあなたが、あなたたちが私たちの家族になることです」
「家族……」
早苗さんはさらに顔を近づけてきた。
彼女の吐く息は俺の鼻と口の中に入り、俺の吐く息は早苗さんの整った鼻に入る。
俺の息、臭くないんだろうか。
そんな心配もなきにしもあらずだが、早苗さんはことさらに大きく息を吸って、艶かしい表情を浮かべ息を吐き返すことをひたすら繰り返す。
「あなたの強さで、娘たちを……私たちを守ってくれませんか。その代わりに、私たちはあなたたちに愛を注ぎます」
「愛……」
「はい。朽ち果てることのない愛。寂しさを感じさせない愛です」
愛。
俺とは無縁の感情だ。
俺は妹だけを養うと決めたのに。
この美人たちの家族?
不安になった。
そんな俺を見て早苗さんは
俺の手をぎゅっと握り、バスローブに包まれた爆のつく胸に持っていく。
「っ!!早苗さん!」
「祐介くん、一人で抱えちゃダメです。これからは私と娘も力を合わせて理恵ちゃんの面倒を見ますから」
「いいえ、迷惑をかけるわけには……」
「ううん。迷惑じゃないですよ。むしろ、やらせて」
「……」
「そして祐介くんは私たちを守ってくれれば、それでいい」
「そんなことをしたら、なんていうか……俺が俺じゃなくなるような」
「そんなことはないわ。祐介くんはずっと祐介くんよ」
「俺は、俺……」
「そう。いつも妹のために努力して、優しくて強くて逞しい……私たちの体だけを欲する理性のない獣とは格が違う立派な男よ。あなたは私たちの心をピンポイントでついたわ」
なぜだろう。
自分の心の中にある何かが動き出している気がする。
起きたばかりなのに、頭が冴えない。
早苗さんの香りに酔ってしまうそうだ。
彼女は目を細めて俺の耳に息を吹きかける。
「っ!」
「だからね、今まで背負ってきた重荷は下ろしてね。私も、私たちもこれまで守ってきたもの、全部あなたにあげる。お互い、欠けているところを補い合おうね」
「……」
糸が
心の糸が切れた気がする。
「ああ……」
俺の熱い息を吸い取った早苗さんはバスローブを脱ぐ。
そして、
まるで自分が産んだ赤ちゃんを見守る母のような顔で口を開いた。
「おいで」
俺は彼女の言葉に導かれるまま、早苗さんの胸に飛び込んだ。
「ママ」
「祐介、いい子」
早苗さんは腕で俺の頭を回して、自分の体にぎゅっと強く寄せた。
追記
次回、2回戦いきます。
★と♡お願いします(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
理恵を守る。
それこそが俺の行動理念。
理恵のためなら俺はなんだってできる。
そう思っていた。
だけど、花隈育成高校に行くための学費を俺一人の力で用意することはできなかった。
いくら強くなっても、のしかかってくる現実という壁に俺は空回りばかりしてきた。
しかし、
俺は友梨姉と奈々に出会ってから人生が変わった。
二人と早苗さんが向けてくる視線。
甘い言葉。
守られたいことを強く願う面持ち。
彼女らを見ていると、うちなる自分が彼女んらに甘えたいと守ってあげたいと叫ぶ。
それにしてもなんで俺は眠ってしまったんだ。
人の家で寝るなんて、俺らしからぬ行動だ。
本当に俺はこの広い家を我が家だと認識しているのか。
いや、調子に乗んな祐介。
お前は理恵のことをだけの気にしろ。
自分を戒めると、頭が冴えてきた。
「ん……」
ここは一体どこなんだろう。
照明がついてない部屋は窓越しに差し込んでくる斜陽に照らされている。
広い部屋だ。
俺はベッドの上で横になっている。
そして、俺の後頭部に大きなマシュマロに包まれているような不思議な感じがする。
まるで異世界にいるようで宇宙の中を飄々と漂う開放感が俺の体を駆け巡る。
目を開けてみた。
そしたら、とてつもなく大きな二つの塊が俺の視界を遮った。
それと同時に、俺の鼻を刺激する名状し難い香りが漂ってくる。
「あら、祐介くん。やっと起きましたか」
「早苗さん……」
巨大な二つの塊から顔を出したのは早苗さんだった。
よくみたら、バスローブだけ羽織っている。
「こ、これは一体……理恵、理恵は!」
理恵のことが心配になり俺が立ちあがろうとしたが、早苗さんは微笑んで細い手を使い、俺を優しく制止する。
「理恵ちゃんは隣の部屋に娘たちと一緒にいますよ。その気になれば、いくらでも元気な妹の顔が見れますので、安心してください」
「そうですか」
「はい。私は祐介くんに嘘はつきません」
「よかった」
俺が安堵のため息をついていると、バスローブ姿の早苗さんが俺の頭を撫でてきた。
「あの……早苗さん」
「なに?」
「なんで俺の頭を……ていうかこの姿勢ってなんですか?」
「膝枕ですよ。祐介くんを私の膝に乗せてたっぷり甘やかしているところです」
「……」
大人気女優の早苗さんが、俺なんかにこんなことしていいのか。
映画関係者やマスコミの人が知ったら偉いことになってしまう。
「大丈夫ですか?早苗さんは人気女優で……」
「ふふ、そんなこと気にするんだ。大丈夫ですよ。私の願いが叶えば、この姿を誰かに見られても別に構いません。むしろ、見てほしいくらいだから」
「っ」
妖艶な表情の早苗さんの口から発せられた言葉は俺の脳に電気を走らせる。
気になることがある。
願い。
一体何を指すのだろうか。
「願いって」
「ふふ、私の願い、気になりますか?」
そりゃ、気になりすぎるだろ。
「気になります」
早苗さんは嬉しそうに微笑んでから頭を下げて、俺の目を直視した。
彼女の緑色の瞳が俺の戸惑う姿を鮮明に映している。
「願い……それは、祐介くんと理恵ちゃん、そして私と娘たちが幸せになれる唯一の道」
「唯一の道……」
「はい。それはあなたが、あなたたちが私たちの家族になることです」
「家族……」
早苗さんはさらに顔を近づけてきた。
彼女の吐く息は俺の鼻と口の中に入り、俺の吐く息は早苗さんの整った鼻に入る。
俺の息、臭くないんだろうか。
そんな心配もなきにしもあらずだが、早苗さんはことさらに大きく息を吸って、艶かしい表情を浮かべ息を吐き返すことをひたすら繰り返す。
「あなたの強さで、娘たちを……私たちを守ってくれませんか。その代わりに、私たちはあなたたちに愛を注ぎます」
「愛……」
「はい。朽ち果てることのない愛。寂しさを感じさせない愛です」
愛。
俺とは無縁の感情だ。
俺は妹だけを養うと決めたのに。
この美人たちの家族?
不安になった。
そんな俺を見て早苗さんは
俺の手をぎゅっと握り、バスローブに包まれた爆のつく胸に持っていく。
「っ!!早苗さん!」
「祐介くん、一人で抱えちゃダメです。これからは私と娘も力を合わせて理恵ちゃんの面倒を見ますから」
「いいえ、迷惑をかけるわけには……」
「ううん。迷惑じゃないですよ。むしろ、やらせて」
「……」
「そして祐介くんは私たちを守ってくれれば、それでいい」
「そんなことをしたら、なんていうか……俺が俺じゃなくなるような」
「そんなことはないわ。祐介くんはずっと祐介くんよ」
「俺は、俺……」
「そう。いつも妹のために努力して、優しくて強くて逞しい……私たちの体だけを欲する理性のない獣とは格が違う立派な男よ。あなたは私たちの心をピンポイントでついたわ」
なぜだろう。
自分の心の中にある何かが動き出している気がする。
起きたばかりなのに、頭が冴えない。
早苗さんの香りに酔ってしまうそうだ。
彼女は目を細めて俺の耳に息を吹きかける。
「っ!」
「だからね、今まで背負ってきた重荷は下ろしてね。私も、私たちもこれまで守ってきたもの、全部あなたにあげる。お互い、欠けているところを補い合おうね」
「……」
糸が
心の糸が切れた気がする。
「ああ……」
俺の熱い息を吸い取った早苗さんはバスローブを脱ぐ。
そして、
まるで自分が産んだ赤ちゃんを見守る母のような顔で口を開いた。
「おいで」
俺は彼女の言葉に導かれるまま、早苗さんの胸に飛び込んだ。
「ママ」
「祐介、いい子」
早苗さんは腕で俺の頭を回して、自分の体にぎゅっと強く寄せた。
追記
次回、2回戦いきます。
★と♡お願いします(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾