土曜日
いよいよこの日がやってきた。
躑躅家の人たちが俺にために用意してくれるパーティー。
別にお礼を言われるようなことはしてないと思うが、彼女らの好意を無碍にするわけにはいかない。
配信の話をしようか。
俺は高砂さんのところでバイトをする時以外は配信活動を続けた。
週に2回くらいだろうか。
高砂さんからは、バイトはやめて配信活動に専念するように言われたが、俺の心は高砂さんの店で働くことを望んでいた。
彼の大人としての余裕を見習いたい。
あと名無しさんたちのことを話そうか。
あれからも名無しYさんと名無しNさんは俺が生配信をするたびに物凄い額のスパチャを投げてくれた。
そして、たまに名無しさんも現れてYさんとNさんを上回る額を投げてくれる。
すでにこの三人からもらったスパチャだけでも4桁は超えている。
視聴者のみんなも名無しさんたちには慣れているようで、三人が金持ちのホモであること前提でコメントを書いてくれる。
コメントを読むたびに俺のお尻が縮んでしまいそうだ。
「ん……」
目を開けた。
晴れだ。
朝の日差しがとても眩しい。
陽光は窓越しに差し込んでは、この木造のアパートの部屋の内部を照らす。
布団から舞い上がる埃の粒子は光り輝く宝石のようで、俺はぼーっとなって押し寄せてくる微睡に耐える。
朝といっても時間は9時30分。
こんなに心安らぐ感じはいつぶりだろう。
いつもは土曜日もフルタイムで働いたんだよな。
まだスパチャでもらったお金と広告収入は口座に入ってないが、高砂さんから借りたお金がまだいっぱい残っている。
「ふふ、よいしょっと」
俺は微笑みながら立ち上がった。
すると
「ん……」
ベッドですやすやと寝息を立てている理恵の姿が目に入った。
パジャマを着ているが、服が乱れているせいで胸が丸見えだ。
なんかだんだん大きくなっていく気がする。
亡くなった母も相当なものをお持ちだったから遺伝子的にもっと大きくなる確率は高い。
軟肉。
胸。
そういえば早苗さんと奈々のおっぱい、めっちゃ柔らかかった。
「何考えてんだ」
俺が顔を左右に振ると、妹が目を開ける。
「んん」
理恵は目を擦りながら上半身を起こして俺を見つめた。
「お兄ちゃん……おはよう」
「ああ、おはよう。ついでにパジャマ直しとけよ。おっぱい丸見えだぞ」
俺が注意すると、理恵が俺にジト目を向ける。
「お兄ちゃん、面倒くさいよ」
「……」
朝ごはんを済ませて、俺たちは家を出た。
理恵は上機嫌のようで、鼻歌を歌いながらテクテク歩いている。
そんな理恵は何かを思い出したようにぐるりと回って後ろにいる俺に声をかけた。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと早めに出たから、公園寄って行かない?」
「いいよ」
俺と理恵は駅近くにある公園へと向かった。
「どうした?公園に何かあるのか?」
「ううん。ただ、お兄ちゃんと二人きりでぶらぶらしたくてね」
理恵はありし日に想いを馳せるようにやるせない表情を向ける。
親が死ぬ前はこうやって二人で公園でよく遊んだりしてたな。
ここ数年は理恵を養うためにそれどころじゃなかったが。
俺は口角を釣り上げて足早に歩き、理恵に隣に立った。
そしたら理恵は微笑んで、俺に体をくっつける。
「みんな見てるし、離れろよ」
「ええ?いいじゃん!」
「……ベンチに座ろうぜ」
「はーい」
俺たちがベンチへ向かった。
ベンチの上には虫がいた。
カマキリ二匹。
大きなカマキリが小さなカマキリを食べている。
「うわあ、これカマキリじゃん!」
妹が目を丸くして驚く。
「なんで仲間を食ってるんだ?」
と俺が小首を傾げてこのグロい場面を見ながら問うと、
「ふふっ」
妹の妖艶な声が耳に届いた。
「これはね、交尾中だよ」
「交尾?」
「うん。メスのカマキリは繁殖期になると、食欲旺盛になるんだ。だから交尾中のオスも食べ物と認識して、食べちゃうの」
「……」
「オスの肉を自分の体内に入れたメスは卵をいっぱい産むことができるよ」
「……グロすぎるだろ」
俺がげんなりしながら言うと理恵は微笑む。
「先輩たちの家に行こう」
「え?もう?」
「うん。なんか早く行きたくなった」
「手土産買ってからな」
「うん。分かった」
俺と理恵はデパートでクッキーを買って躑躅家に向かった。
お金持ちが住みそうなタワーマンション。
ちょっと早めに着くと連絡はしといたから大丈夫だろう。
敷地内に入ると、どう見ても圧倒的に美しい三人が俺たちを見て手を振った。
友梨姉は青いワンピース、奈々はピンク色のワンピース、そして早苗さんは黒いワンピース。
母娘ではなく、3姉妹と言った方が正しい気がする。
「めっちゃ綺麗……」
理恵が三人に羨望の眼差しを向けると、三人が嬉々とした表情でこちらに小走りに走ってくる。
「理恵ちゃん!!」
奈々が理恵を抱きしめる。
「奈々先輩……」
驚く理恵の頭に手をそっと乗せる友梨姉。
「来てくれてありがとう」
「友梨先輩も……」
美人姉妹とのスキンシップに理恵は目を瞑って安心したように息を吐く。
微笑ましい光景に俺の緊張も解けて来た。
そんな俺の肩に柔らかい感触が伝わった。
早苗さんの手だ。
「祐介くん」
「は、はい」
「あなたをずっと待ってました。中に入りましょう。ふふ」
早苗さんの息が俺の鼻を刺激し、声は脳を痺れさせる。
「はい……」
俺たちは中に入った。
いよいよこの日がやってきた。
躑躅家の人たちが俺にために用意してくれるパーティー。
別にお礼を言われるようなことはしてないと思うが、彼女らの好意を無碍にするわけにはいかない。
配信の話をしようか。
俺は高砂さんのところでバイトをする時以外は配信活動を続けた。
週に2回くらいだろうか。
高砂さんからは、バイトはやめて配信活動に専念するように言われたが、俺の心は高砂さんの店で働くことを望んでいた。
彼の大人としての余裕を見習いたい。
あと名無しさんたちのことを話そうか。
あれからも名無しYさんと名無しNさんは俺が生配信をするたびに物凄い額のスパチャを投げてくれた。
そして、たまに名無しさんも現れてYさんとNさんを上回る額を投げてくれる。
すでにこの三人からもらったスパチャだけでも4桁は超えている。
視聴者のみんなも名無しさんたちには慣れているようで、三人が金持ちのホモであること前提でコメントを書いてくれる。
コメントを読むたびに俺のお尻が縮んでしまいそうだ。
「ん……」
目を開けた。
晴れだ。
朝の日差しがとても眩しい。
陽光は窓越しに差し込んでは、この木造のアパートの部屋の内部を照らす。
布団から舞い上がる埃の粒子は光り輝く宝石のようで、俺はぼーっとなって押し寄せてくる微睡に耐える。
朝といっても時間は9時30分。
こんなに心安らぐ感じはいつぶりだろう。
いつもは土曜日もフルタイムで働いたんだよな。
まだスパチャでもらったお金と広告収入は口座に入ってないが、高砂さんから借りたお金がまだいっぱい残っている。
「ふふ、よいしょっと」
俺は微笑みながら立ち上がった。
すると
「ん……」
ベッドですやすやと寝息を立てている理恵の姿が目に入った。
パジャマを着ているが、服が乱れているせいで胸が丸見えだ。
なんかだんだん大きくなっていく気がする。
亡くなった母も相当なものをお持ちだったから遺伝子的にもっと大きくなる確率は高い。
軟肉。
胸。
そういえば早苗さんと奈々のおっぱい、めっちゃ柔らかかった。
「何考えてんだ」
俺が顔を左右に振ると、妹が目を開ける。
「んん」
理恵は目を擦りながら上半身を起こして俺を見つめた。
「お兄ちゃん……おはよう」
「ああ、おはよう。ついでにパジャマ直しとけよ。おっぱい丸見えだぞ」
俺が注意すると、理恵が俺にジト目を向ける。
「お兄ちゃん、面倒くさいよ」
「……」
朝ごはんを済ませて、俺たちは家を出た。
理恵は上機嫌のようで、鼻歌を歌いながらテクテク歩いている。
そんな理恵は何かを思い出したようにぐるりと回って後ろにいる俺に声をかけた。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと早めに出たから、公園寄って行かない?」
「いいよ」
俺と理恵は駅近くにある公園へと向かった。
「どうした?公園に何かあるのか?」
「ううん。ただ、お兄ちゃんと二人きりでぶらぶらしたくてね」
理恵はありし日に想いを馳せるようにやるせない表情を向ける。
親が死ぬ前はこうやって二人で公園でよく遊んだりしてたな。
ここ数年は理恵を養うためにそれどころじゃなかったが。
俺は口角を釣り上げて足早に歩き、理恵に隣に立った。
そしたら理恵は微笑んで、俺に体をくっつける。
「みんな見てるし、離れろよ」
「ええ?いいじゃん!」
「……ベンチに座ろうぜ」
「はーい」
俺たちがベンチへ向かった。
ベンチの上には虫がいた。
カマキリ二匹。
大きなカマキリが小さなカマキリを食べている。
「うわあ、これカマキリじゃん!」
妹が目を丸くして驚く。
「なんで仲間を食ってるんだ?」
と俺が小首を傾げてこのグロい場面を見ながら問うと、
「ふふっ」
妹の妖艶な声が耳に届いた。
「これはね、交尾中だよ」
「交尾?」
「うん。メスのカマキリは繁殖期になると、食欲旺盛になるんだ。だから交尾中のオスも食べ物と認識して、食べちゃうの」
「……」
「オスの肉を自分の体内に入れたメスは卵をいっぱい産むことができるよ」
「……グロすぎるだろ」
俺がげんなりしながら言うと理恵は微笑む。
「先輩たちの家に行こう」
「え?もう?」
「うん。なんか早く行きたくなった」
「手土産買ってからな」
「うん。分かった」
俺と理恵はデパートでクッキーを買って躑躅家に向かった。
お金持ちが住みそうなタワーマンション。
ちょっと早めに着くと連絡はしといたから大丈夫だろう。
敷地内に入ると、どう見ても圧倒的に美しい三人が俺たちを見て手を振った。
友梨姉は青いワンピース、奈々はピンク色のワンピース、そして早苗さんは黒いワンピース。
母娘ではなく、3姉妹と言った方が正しい気がする。
「めっちゃ綺麗……」
理恵が三人に羨望の眼差しを向けると、三人が嬉々とした表情でこちらに小走りに走ってくる。
「理恵ちゃん!!」
奈々が理恵を抱きしめる。
「奈々先輩……」
驚く理恵の頭に手をそっと乗せる友梨姉。
「来てくれてありがとう」
「友梨先輩も……」
美人姉妹とのスキンシップに理恵は目を瞑って安心したように息を吐く。
微笑ましい光景に俺の緊張も解けて来た。
そんな俺の肩に柔らかい感触が伝わった。
早苗さんの手だ。
「祐介くん」
「は、はい」
「あなたをずっと待ってました。中に入りましょう。ふふ」
早苗さんの息が俺の鼻を刺激し、声は脳を痺れさせる。
「はい……」
俺たちは中に入った。