「俺、行ってくる!」
「私もいくわ!」
「いや……相手はSSランクのモンスターだぞ。危ない!」
「……」
俺が彼女を睨んで強めにいうと、彼女は冷静な表情をする。
「荻窪駅周辺は新宿と吉祥寺と比べて警備があまいわ!早く人たちを避難させないといけない!」
「……」
俺はモンスターを倒すことだけしか頭になかったが、友梨姉はキングゴーレムによって命が脅かされる可能性がある人たちまで心配している。
やっぱり年上だ。
俺とは違う考えに則って行動している。
「わかった……友梨姉を守ってあげるから、人たちの避難させてくれ」
「守る……うん。わかった!」
友梨姉の頬は若干ピンクに染まっているが、なぜか嬉しそうに表情は明るい。
「祐介!」
そんな俺に、高砂さんが声をかけた。
「高砂さん……」
俺が彼に視線を向けたら、彼はドヤ顔で言う。
「ちゃんと彼女を守るんだぞ!」
守る。
早苗さんも言ってたな。
「はい!わかりました!」
高砂さんに言って、俺は店を出た。
すると、友梨姉が俺の後ろを追いかけてくる。
俺はいつも一人で戦ってきた。
だが、
今は人を守りながら戦うんだ。
俺たちが荻窪駅に到着した頃は、すでにカオスと化していた。
「きゃああ!!」
「なんでSSランクのモンスターがここにいんだよ!」
「こっちくんなああ!!!」
老若男女関係なく、みんなが悲鳴をあげて駅から逃げている。
「ゴオオオオオオ!!!」
20メートルを軽く超える硬い体に触れる物は建物だろうが線路だろうが例外なく壊れて行く。
「まだこの周辺には人たちがたくさんいるわ!早く行かないと!」
急いで駅の中に入ろうとすると友梨姉。
俺はそんな友梨姉の手首を握った。
「え?」
戸惑う友梨姉を軽くスルーして、俺は彼女の体に防御幕を張った。
「これならキングゴーレムが攻撃してきても、瓦礫の下敷きになっても安全だ」
「キングゴーレムの攻撃を防いでくれるスキル……聞いたことないわ」
友梨姉が感動しながら、俺を見つめてくる。
いや、別に大したことないんだけどな。
防御幕を生成する時に密度の高いマナを流し込めば良い。
でも、今そんなことをいちいち説明する暇はない。
「早く行って」
「……うん。祐介くんも、頑張って!その……家まで送るという約束、守ってちょうだい」
「もちろんだ」
と言って、俺は身体強化とヒールを同時に使いながらキングゴーレムがいる駅へ向かう。
筋肉に濃いマナを流し込んで、筋肉を強化する。
そしたら、筋肉はすぐに疲れてしまうため、ヒールをかけ強化状態を持続させる。
俺が開発した俺流の身体強化。
俺はジャンプをして、そのままキングゴーレムがいる線路に着地した。
そこには5人ほどの探索者がキングゴーレムと対峙していた。
同じユニフォームを着ている姿を見ていると、おそらく国家機関所属のものだろう。
彼らはキングゴーレムの漂わせるオーラに圧倒されていた。
探索者のうち、一人が俺を発見しては目を丸くした。
「あ、あなたは……伝説の拳様!!」
すると、他の探索者3人も俺を見て驚く。
「すごい……」
「本当だ……本当のデンコ様……」
「喫茶店のユニフォームを着てる……」
よく聞こえないけど、4人は俺を見て何かを呟いているようだ。
5秒ほどが経過した。
5人のうち一番偉い人と思しきおじさんが俺の方へ走ってくる。
「あなたは、伝説の拳様ですか?」
「はい。そうですが」
「初めまして。私は日本ダンジョン協会管轄特殊部隊所属の渡辺誠一郎と申します」
日本ダンジョン協会管轄特殊部隊所属というのはスキルが使える能力者からなる組織。
能力者の中でエリートたちだけが入れるところだ。
給料もいいし、名誉も得ることができる。
結婚したい男性の職業一位がこの日本ダンジョン協会管轄特殊部隊だ。
ゆえに、彼らは相当プライドが強いと聞く。
そんな隊員を纏める人である渡辺さんは、俺に深く頭を下げた。
「どうか力を貸していただけますか」
「え?」
俺は戸惑った。
なんでこんな偉い人が俺に頭を下げているんだろう。
「頭を上げてください。なんで俺に頭を下げるんですか?」
俺が問うと、渡辺さんは頭を上げて暗い表情を作り、言葉を紡ぐ。
「わたしたちじゃあのキンゴーレムを倒すことはできません」
「……」
「日本ダンジョン協会管轄特殊部隊が作られた理由はただ一つ。それは人たちを守るためです」
「守る……」
「はい!だから、私たちのメンツより市民の命の方が大切です。あなたは一応無能力者ということになってますが、SSモンスターを倒せるほどの力をお持ちです。だから、助けてください。支援を要請しましたけど、間に合いません」
驚いた。
こんな人もいるなんて。
自分の限界を認め、助けを求める。
実に賢い判断だ。
俺が関心していると、
「グオオオオオオオ!!!」
キングゴーレムが俺たちを攻撃してきた。
「「「っ!!」」」
線路を叩くキングゴーレムの攻撃を俺たちは避ける。
さすが特殊部隊。
動きが早い。
俺は渡辺さんに言う。
「まず、ここからキングゴーレムを人気の少ないところに誘き寄せる必要があります」
俺の提案に早速女性隊員の一人が反応をする
「荻窪公園に誘導しましょう!広いので市民の被害も少なくなるのかと」
彼女のセリフにみんなが納得顔でうんうんする。
俺は続けた。
「じゃ、キングゴーレムをその公園に誘導してください。そこで、俺がやつを倒します」
「「「っ!」」」
なぜか俺の言葉に5人が口をぽかんと開ける。
俺はそんな5人に言葉を発する。
「早く!」
「「「は、はい!」」」
いつも俺はダンジョンでモンスターを一人で狩ってきた。
周りを気にする必要もなければ、力加減も不要だった。
だが、
今は違う。
周りを気にしなければ、犠牲者が出る。
かといって、俺がここでキングゴーレムとドンパチを始めたら、建物などが破壊され凄まじい経済的損失と悲劇を齎しかねない。
あとは……
人たちを避難させるため、身を張っている友梨姉。
俺はいつにも増して緊張した。
しかし、
この特殊部隊の人たちが俺に向けてくる熱い視線を感じると、なぜか心が熱くなった。
さ、
始めようではないか。
「私もいくわ!」
「いや……相手はSSランクのモンスターだぞ。危ない!」
「……」
俺が彼女を睨んで強めにいうと、彼女は冷静な表情をする。
「荻窪駅周辺は新宿と吉祥寺と比べて警備があまいわ!早く人たちを避難させないといけない!」
「……」
俺はモンスターを倒すことだけしか頭になかったが、友梨姉はキングゴーレムによって命が脅かされる可能性がある人たちまで心配している。
やっぱり年上だ。
俺とは違う考えに則って行動している。
「わかった……友梨姉を守ってあげるから、人たちの避難させてくれ」
「守る……うん。わかった!」
友梨姉の頬は若干ピンクに染まっているが、なぜか嬉しそうに表情は明るい。
「祐介!」
そんな俺に、高砂さんが声をかけた。
「高砂さん……」
俺が彼に視線を向けたら、彼はドヤ顔で言う。
「ちゃんと彼女を守るんだぞ!」
守る。
早苗さんも言ってたな。
「はい!わかりました!」
高砂さんに言って、俺は店を出た。
すると、友梨姉が俺の後ろを追いかけてくる。
俺はいつも一人で戦ってきた。
だが、
今は人を守りながら戦うんだ。
俺たちが荻窪駅に到着した頃は、すでにカオスと化していた。
「きゃああ!!」
「なんでSSランクのモンスターがここにいんだよ!」
「こっちくんなああ!!!」
老若男女関係なく、みんなが悲鳴をあげて駅から逃げている。
「ゴオオオオオオ!!!」
20メートルを軽く超える硬い体に触れる物は建物だろうが線路だろうが例外なく壊れて行く。
「まだこの周辺には人たちがたくさんいるわ!早く行かないと!」
急いで駅の中に入ろうとすると友梨姉。
俺はそんな友梨姉の手首を握った。
「え?」
戸惑う友梨姉を軽くスルーして、俺は彼女の体に防御幕を張った。
「これならキングゴーレムが攻撃してきても、瓦礫の下敷きになっても安全だ」
「キングゴーレムの攻撃を防いでくれるスキル……聞いたことないわ」
友梨姉が感動しながら、俺を見つめてくる。
いや、別に大したことないんだけどな。
防御幕を生成する時に密度の高いマナを流し込めば良い。
でも、今そんなことをいちいち説明する暇はない。
「早く行って」
「……うん。祐介くんも、頑張って!その……家まで送るという約束、守ってちょうだい」
「もちろんだ」
と言って、俺は身体強化とヒールを同時に使いながらキングゴーレムがいる駅へ向かう。
筋肉に濃いマナを流し込んで、筋肉を強化する。
そしたら、筋肉はすぐに疲れてしまうため、ヒールをかけ強化状態を持続させる。
俺が開発した俺流の身体強化。
俺はジャンプをして、そのままキングゴーレムがいる線路に着地した。
そこには5人ほどの探索者がキングゴーレムと対峙していた。
同じユニフォームを着ている姿を見ていると、おそらく国家機関所属のものだろう。
彼らはキングゴーレムの漂わせるオーラに圧倒されていた。
探索者のうち、一人が俺を発見しては目を丸くした。
「あ、あなたは……伝説の拳様!!」
すると、他の探索者3人も俺を見て驚く。
「すごい……」
「本当だ……本当のデンコ様……」
「喫茶店のユニフォームを着てる……」
よく聞こえないけど、4人は俺を見て何かを呟いているようだ。
5秒ほどが経過した。
5人のうち一番偉い人と思しきおじさんが俺の方へ走ってくる。
「あなたは、伝説の拳様ですか?」
「はい。そうですが」
「初めまして。私は日本ダンジョン協会管轄特殊部隊所属の渡辺誠一郎と申します」
日本ダンジョン協会管轄特殊部隊所属というのはスキルが使える能力者からなる組織。
能力者の中でエリートたちだけが入れるところだ。
給料もいいし、名誉も得ることができる。
結婚したい男性の職業一位がこの日本ダンジョン協会管轄特殊部隊だ。
ゆえに、彼らは相当プライドが強いと聞く。
そんな隊員を纏める人である渡辺さんは、俺に深く頭を下げた。
「どうか力を貸していただけますか」
「え?」
俺は戸惑った。
なんでこんな偉い人が俺に頭を下げているんだろう。
「頭を上げてください。なんで俺に頭を下げるんですか?」
俺が問うと、渡辺さんは頭を上げて暗い表情を作り、言葉を紡ぐ。
「わたしたちじゃあのキンゴーレムを倒すことはできません」
「……」
「日本ダンジョン協会管轄特殊部隊が作られた理由はただ一つ。それは人たちを守るためです」
「守る……」
「はい!だから、私たちのメンツより市民の命の方が大切です。あなたは一応無能力者ということになってますが、SSモンスターを倒せるほどの力をお持ちです。だから、助けてください。支援を要請しましたけど、間に合いません」
驚いた。
こんな人もいるなんて。
自分の限界を認め、助けを求める。
実に賢い判断だ。
俺が関心していると、
「グオオオオオオオ!!!」
キングゴーレムが俺たちを攻撃してきた。
「「「っ!!」」」
線路を叩くキングゴーレムの攻撃を俺たちは避ける。
さすが特殊部隊。
動きが早い。
俺は渡辺さんに言う。
「まず、ここからキングゴーレムを人気の少ないところに誘き寄せる必要があります」
俺の提案に早速女性隊員の一人が反応をする
「荻窪公園に誘導しましょう!広いので市民の被害も少なくなるのかと」
彼女のセリフにみんなが納得顔でうんうんする。
俺は続けた。
「じゃ、キングゴーレムをその公園に誘導してください。そこで、俺がやつを倒します」
「「「っ!」」」
なぜか俺の言葉に5人が口をぽかんと開ける。
俺はそんな5人に言葉を発する。
「早く!」
「「「は、はい!」」」
いつも俺はダンジョンでモンスターを一人で狩ってきた。
周りを気にする必要もなければ、力加減も不要だった。
だが、
今は違う。
周りを気にしなければ、犠牲者が出る。
かといって、俺がここでキングゴーレムとドンパチを始めたら、建物などが破壊され凄まじい経済的損失と悲劇を齎しかねない。
あとは……
人たちを避難させるため、身を張っている友梨姉。
俺はいつにも増して緊張した。
しかし、
この特殊部隊の人たちが俺に向けてくる熱い視線を感じると、なぜか心が熱くなった。
さ、
始めようではないか。