友梨さんの話によると、奈々は今日、動画撮影があるから来れなかったとのことだ。
俺はキッチンに入り、カルボナーラとさっぱりとした感じのアイスティーを作った。
俺もお腹が空いたので、友梨さんとメニューは同じ。
「カルボナーラとアイスティーでございます」
「……ありがとうございます」
俺が料理と飲み物を運び終えると、友梨さんは関心したように目をパチパチさせた。
長いまつ毛がとても綺麗だ。
「美味しそう……これを全部作ったんですか?」
「はい。お口に合うかわかりませんけど、どうぞお召し上がりください」
「……いただきます」
友梨さんはフォークにパスタを絡めてそれを口の中に入れる。
白いクリームが彼女の唇に付着するが、彼女は舌を出して付着したものを舐めとる。
とても妖艶な姿だ。
「んん……おいしい……っふ」
友梨さんは微笑んでから、アイスティーを飲む。
俺が作ったものを客が食べるのは数え切れないほど見てきたが、友梨さんが食べる姿を見ていると、なぜか背中がむずむずして落ち着きがなくなる。
早く食べようか。
俺は邪念を追い払い、食べることに集中した。
そして時間が経ち、完食した俺たちは口を拭いて満足げに息をついている。
「料理上手なお兄さんがいると、理恵も心強いんでしょうね」
「まだまだですよ」
「ううん。岡田くんが作ってくれたもの……とっても美味しかったです」
友梨さんは名残惜しそうな表情をしながら言った。
「……ありがとうございます。あの……タメ語で話していいんで……年上ですし」
「……いいの?」
「はい」
「わかったわ。岡田くん……祐介くん……私もタメ語で構わないわ。これから、いっぱい関わるわけだし」
「……じゃ、お言葉に甘えて……」
俺が俯いて恥ずかしそうにしていると、友梨さんが頬を緩めて俺をじっし見つめた。
なので俺は視線だけで友梨さんを追うと、
「ふふ、友梨お姉さんって呼んでいいよ」
「っ!!」
お姉さん。
チャンネル登録者数1000万越えの年上美少女とタメ口で話す上に、友梨お姉さんって呼ぶことを許されるなんて……
もし、これをファンが知ったら、俺は吊し上げを食らってしまう。
今は二人だけだから構わないと思うが……
「友梨姉……」
「よくできました。うふふ」
「……」
友梨姉はまるでいたいけな子供のようににっこり微笑んでくれた。
「あのさ……」
「ん?なにかしら?」
友梨姉がキョトンと小首を傾げていると、俺は自分の胸の内を伝えることにした。
「昨日も伝えたけど、やっぱり直接言ったほうがいいと思ってな……いつも理恵を気にかけてくれて本当にありがとう……おかげで理恵は学校に馴染むことができたんだ……これからも理恵のことをよろしく」
俺は頭を深く下げた。
本当に、頭が上がらない。
妹が友梨姉、そして奈々と仲良しなら、妹の学校生活も安泰というわけだ。
「祐介くん」
「うん……」
「頭を上げて」
彼女に言われて頭を上げたら、友梨お姉さんは蕩ける顔で俺を見つめてくる。
「むしろ、感謝しないといけないのは私たちの方よ」
「え?」
「理恵のことは任せてちょうだい。いっぱい可愛がってあげる」
「ああ……頼む」
俺は胸を撫で下ろした。
友梨姉は相変わらず俺をじっと見つめている。
「うふふ、可愛い子」
「……ああ。理恵はかわいい」
「そうね。理恵もかわいいよ」
なんか妙に会話が噛み合ってない気がするけど、気のせいだろうか。
「祐介くん」
「ん?」
「一つ聞いていいかしら?」
「なにを?」
「なぜコラボの話、断ったの?やっぱり、私、とても気になるわ。よかったら教えてくれないかしら?」
と問うてくる友梨お姉さんの表情には若干の寂しさが滲み出ている。
その顔さえも絵画じみていて、まるで映画のシーンのように思えてきた。
「……ほら、男性ファンもいることだし、やっぱり色々まずいだろ」
「あら……そんなことを気にしてたのね」
目を丸くして、少し驚く友梨お姉さんだったが、目を細めて明後日の方向に目を見遣りつつ小声でボソッと漏らした。
「もう見つけたからチャンネルのことはどうでもいいのに」
「友梨姉?」
「そうね。だったら、コラボじゃなくて、プライベートでのお付き合いになるのかしら?」
「……そうかもな」
しばし静寂が訪れる。
が、
友梨姉は身を乗り出して
俺の顔を正確にに捉えた。
「ねえ、私たちはまだ祐介くんに恩返ししてないの。だからね、私たちにもお礼をさせて」
「いや、いいよ。別に」
「ううん。祐介くんは私と妹の大切なものを守ってくれたから……だからね、私たちも祐介くんに大切なものをあげたいの」
「大切なもの……っ!!」
在りし日の会話が浮かんでくる。
『裕介のおかげで、私とお姉ちゃんの処女は守られたの』
『ブッ!ゲホゲホ!』
『ふふ、裕介、動揺しすぎ』
『いや、処女とか、そんなこと平然と言ってのけるから……』
『大事なもの』
大切なもの……
つまり、
しょ……
いや待て。
友梨姉が考える大切なものと、奈々が思う大切なものが同じとは限らない。
考えすぎだ。
俺は気分を落ち着かせるべく息を深く吸って吐いた。
そしたら、友梨姉が急に鼻で大きく息を吸って色っぽい表情をする。
つまり、俺の息は友梨姉の鼻を通って体内に入ったわけだ。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるわ」
「……ああ」
友梨姉は自分のスカートをぎゅっと握り込んで、足早にトイレへと向かう。
彼女の後ろ姿を見てふと思う。
動画での彼女は、なぜか無機質でロボットのような作られた感じだった。
だけど、今の彼女は積極的で心遣いができる奥ゆかしい感じの女の子だ。
しかし、ところどころ見せるドス黒いオーラは理恵を思わせる。
『私がお兄ちゃん以外にこんなだらしない姿、見せるわけないじゃん』
そう。
あの時の妹と酷似している。
勝手な考えだが、理恵と友梨姉はいい友達になれそうだ。
3分後、友梨姉が帰ってきた。
「お礼のことは、お母様と奈々とじっくり話してからまた連絡するわ」
「……うん」
「それじゃ……私はそろそろ行こうと思うけど……」
友梨姉は落ち着きがないように、周りをキョロキョロしながら、俺をチラチラとみてきた。
不安が混じった面持ち。
早苗さんとの会話が蘇る。
『友梨と奈々、ゆうくんに守られてとても喜んでいます。主人が亡くなってから二人とも、いつも不安がっていたんですもの』
もし、俺の勘違いでなければ。
「送ろうか?」
「っ!」
友梨姉は目を丸くしたのち、頬を緩めて安心したように笑み混じりに言う。
「うん。家までお願い出来ないかしら」
「……ああ」
やばい……
相手は年上なのに、めっちゃ可愛い。
nowtubeの動画での彼女とは大違いだ。
そう思っていると、
店にいる人たちのスマホが一斉に鳴り出す。
この音は間違いなく緊急速報だ。
俺はスマホを確認する。
『(緊急速報)現在キングゴーレムが荻窪駅周辺で暴れています。至急避難してください』
「え?」
荻窪駅はここから歩いて十分もかからい。
キングゴーレムはSSランクのモンスター。
どう言うことだ。
俺はキッチンに入り、カルボナーラとさっぱりとした感じのアイスティーを作った。
俺もお腹が空いたので、友梨さんとメニューは同じ。
「カルボナーラとアイスティーでございます」
「……ありがとうございます」
俺が料理と飲み物を運び終えると、友梨さんは関心したように目をパチパチさせた。
長いまつ毛がとても綺麗だ。
「美味しそう……これを全部作ったんですか?」
「はい。お口に合うかわかりませんけど、どうぞお召し上がりください」
「……いただきます」
友梨さんはフォークにパスタを絡めてそれを口の中に入れる。
白いクリームが彼女の唇に付着するが、彼女は舌を出して付着したものを舐めとる。
とても妖艶な姿だ。
「んん……おいしい……っふ」
友梨さんは微笑んでから、アイスティーを飲む。
俺が作ったものを客が食べるのは数え切れないほど見てきたが、友梨さんが食べる姿を見ていると、なぜか背中がむずむずして落ち着きがなくなる。
早く食べようか。
俺は邪念を追い払い、食べることに集中した。
そして時間が経ち、完食した俺たちは口を拭いて満足げに息をついている。
「料理上手なお兄さんがいると、理恵も心強いんでしょうね」
「まだまだですよ」
「ううん。岡田くんが作ってくれたもの……とっても美味しかったです」
友梨さんは名残惜しそうな表情をしながら言った。
「……ありがとうございます。あの……タメ語で話していいんで……年上ですし」
「……いいの?」
「はい」
「わかったわ。岡田くん……祐介くん……私もタメ語で構わないわ。これから、いっぱい関わるわけだし」
「……じゃ、お言葉に甘えて……」
俺が俯いて恥ずかしそうにしていると、友梨さんが頬を緩めて俺をじっし見つめた。
なので俺は視線だけで友梨さんを追うと、
「ふふ、友梨お姉さんって呼んでいいよ」
「っ!!」
お姉さん。
チャンネル登録者数1000万越えの年上美少女とタメ口で話す上に、友梨お姉さんって呼ぶことを許されるなんて……
もし、これをファンが知ったら、俺は吊し上げを食らってしまう。
今は二人だけだから構わないと思うが……
「友梨姉……」
「よくできました。うふふ」
「……」
友梨姉はまるでいたいけな子供のようににっこり微笑んでくれた。
「あのさ……」
「ん?なにかしら?」
友梨姉がキョトンと小首を傾げていると、俺は自分の胸の内を伝えることにした。
「昨日も伝えたけど、やっぱり直接言ったほうがいいと思ってな……いつも理恵を気にかけてくれて本当にありがとう……おかげで理恵は学校に馴染むことができたんだ……これからも理恵のことをよろしく」
俺は頭を深く下げた。
本当に、頭が上がらない。
妹が友梨姉、そして奈々と仲良しなら、妹の学校生活も安泰というわけだ。
「祐介くん」
「うん……」
「頭を上げて」
彼女に言われて頭を上げたら、友梨お姉さんは蕩ける顔で俺を見つめてくる。
「むしろ、感謝しないといけないのは私たちの方よ」
「え?」
「理恵のことは任せてちょうだい。いっぱい可愛がってあげる」
「ああ……頼む」
俺は胸を撫で下ろした。
友梨姉は相変わらず俺をじっと見つめている。
「うふふ、可愛い子」
「……ああ。理恵はかわいい」
「そうね。理恵もかわいいよ」
なんか妙に会話が噛み合ってない気がするけど、気のせいだろうか。
「祐介くん」
「ん?」
「一つ聞いていいかしら?」
「なにを?」
「なぜコラボの話、断ったの?やっぱり、私、とても気になるわ。よかったら教えてくれないかしら?」
と問うてくる友梨お姉さんの表情には若干の寂しさが滲み出ている。
その顔さえも絵画じみていて、まるで映画のシーンのように思えてきた。
「……ほら、男性ファンもいることだし、やっぱり色々まずいだろ」
「あら……そんなことを気にしてたのね」
目を丸くして、少し驚く友梨お姉さんだったが、目を細めて明後日の方向に目を見遣りつつ小声でボソッと漏らした。
「もう見つけたからチャンネルのことはどうでもいいのに」
「友梨姉?」
「そうね。だったら、コラボじゃなくて、プライベートでのお付き合いになるのかしら?」
「……そうかもな」
しばし静寂が訪れる。
が、
友梨姉は身を乗り出して
俺の顔を正確にに捉えた。
「ねえ、私たちはまだ祐介くんに恩返ししてないの。だからね、私たちにもお礼をさせて」
「いや、いいよ。別に」
「ううん。祐介くんは私と妹の大切なものを守ってくれたから……だからね、私たちも祐介くんに大切なものをあげたいの」
「大切なもの……っ!!」
在りし日の会話が浮かんでくる。
『裕介のおかげで、私とお姉ちゃんの処女は守られたの』
『ブッ!ゲホゲホ!』
『ふふ、裕介、動揺しすぎ』
『いや、処女とか、そんなこと平然と言ってのけるから……』
『大事なもの』
大切なもの……
つまり、
しょ……
いや待て。
友梨姉が考える大切なものと、奈々が思う大切なものが同じとは限らない。
考えすぎだ。
俺は気分を落ち着かせるべく息を深く吸って吐いた。
そしたら、友梨姉が急に鼻で大きく息を吸って色っぽい表情をする。
つまり、俺の息は友梨姉の鼻を通って体内に入ったわけだ。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるわ」
「……ああ」
友梨姉は自分のスカートをぎゅっと握り込んで、足早にトイレへと向かう。
彼女の後ろ姿を見てふと思う。
動画での彼女は、なぜか無機質でロボットのような作られた感じだった。
だけど、今の彼女は積極的で心遣いができる奥ゆかしい感じの女の子だ。
しかし、ところどころ見せるドス黒いオーラは理恵を思わせる。
『私がお兄ちゃん以外にこんなだらしない姿、見せるわけないじゃん』
そう。
あの時の妹と酷似している。
勝手な考えだが、理恵と友梨姉はいい友達になれそうだ。
3分後、友梨姉が帰ってきた。
「お礼のことは、お母様と奈々とじっくり話してからまた連絡するわ」
「……うん」
「それじゃ……私はそろそろ行こうと思うけど……」
友梨姉は落ち着きがないように、周りをキョロキョロしながら、俺をチラチラとみてきた。
不安が混じった面持ち。
早苗さんとの会話が蘇る。
『友梨と奈々、ゆうくんに守られてとても喜んでいます。主人が亡くなってから二人とも、いつも不安がっていたんですもの』
もし、俺の勘違いでなければ。
「送ろうか?」
「っ!」
友梨姉は目を丸くしたのち、頬を緩めて安心したように笑み混じりに言う。
「うん。家までお願い出来ないかしら」
「……ああ」
やばい……
相手は年上なのに、めっちゃ可愛い。
nowtubeの動画での彼女とは大違いだ。
そう思っていると、
店にいる人たちのスマホが一斉に鳴り出す。
この音は間違いなく緊急速報だ。
俺はスマホを確認する。
『(緊急速報)現在キングゴーレムが荻窪駅周辺で暴れています。至急避難してください』
「え?」
荻窪駅はここから歩いて十分もかからい。
キングゴーレムはSSランクのモンスター。
どう言うことだ。