満月に導かれて、星が泳ぐ空を見上げた。

 家から遠く離れた公園。
 誰もあたしを知らない場所。陽も沈んで薄暗くなった公園には、もう誰の姿も無くなっていた。一人ポツンとブランコに座る。

 あたしだって、真面目ばっかりではいられないんだ。期待されたって出来ないこともある。やりたくないと思うこともある。だけど、断る勇気はあたしにはない。

 今夜は満月だ。見上げた空に昇り始めた大きくて不気味な赤い月が見えた。ため息を吐き出して、ゆっくりとブランコを漕いだ。
 ふと、前方に視線を感じた気がして目を凝らして見る。

 人影が見えた気がしたけれど、すぐに行ってしまったから、あたしはまた空を見上げた。
 帰ろう。また明日から、真面目に生きよう。