夏休みまで、あと、一週間。
放課前のホームルームが終わり、帰る準備を始めると、クラスメイトの一人の男子が言った。
「来週の夏祭り、行く人は、俺に連絡な!
皆で、集まろうぜ!」
「いいね!」
そっか。今年もこんな時期なんだ。
そして、クラスメイトは、解散し、放課後になった。
私は、帰り支度をして、隣のクラスに足を運ぶ。
「裕也、一緒に帰ろ!」
「ああ」
また、いつもと同じように二人並んで、帰り道を歩く。
「裕也は、今年の夏祭り、行くの?」
「...行く」
「珍しいね」
「そうだな。未玖は誰かと周るのか?」
「多分、クラスの皆と周るかな」
「なら、俺もそうするか」
えっ!?
「なんで?」
「そうじゃないと未玖が気づいたら、逸れて、一人になるかもしれないだろ?一人で行っても、俺も一人だし」
なんだ、人混みと私の方向音痴を気にしていたのか。
「確かに、逸れたくはないかも」
「俺なら、ずっと、側に居てやれる」
裕也...。
「だから、焼きそばとか、たこ焼きとか?好きなの、ありったけ、食えよ」
「はあ?!私、そんなのばっかりは食べない!
焼きそばとかも確かに、食べるけど、かき氷とわたあめとかも食べたいし、射的とかも周りたいし!
私が方向音痴だからって、そんなことで逸れないから!からかわないでよ!」
「悪かったよ。でも、未玖が心配なのは、本当だから。早く、帰ろう。おばさんが心配する」
そして、そのまま、何も話せないまま、家に着く。
「じゃあな」と言って、隣の自分の家に入ろうとする。
「待って」
裕也は立ち止まる。
「ごめん。私も言い過ぎた」
すると、裕也は、振り返って笑った。
「楽しみだな」
そう言い残して、家に入っていった。
その笑顔が輝いていて、ドキドキが止まらなかった。
夏祭り、告白しよう。
どうなっても良い。
多分、隠せなくなる。
だから、伝えよう。