当の本人はそんな事情を知らないため先生の謎の行動に理解出来ず曖昧に返答している。


あ、そういえば数学の課題あること覚えてるかな、、、


私は、ぼーっと遠くを眺めている透の肩をシャーペンで突く。


彼は少しビクッととしてから頬杖をつくのやめこちらに顔を向ける。


「課題大丈夫なの?確か数学の課題も出してなかったよね?」


「それもあったかあ〜忘れてた」


「ちゃんとやりなよ〜、透、地頭は良いんだから勿体無いよ」


予想はしていたが言っといてよかった。


「お褒めに預かり光栄です」


「褒めたんじゃありません〜」


彼とこうして軽口を叩き合うは私の毎日の楽しみの一つだ。


「部活にはもう顔を出さないの?」


私は今なら聞けると思い先生から頼まれていたことを聞いてみた。


けれど彼は私の顔を見つめたまま黙り込んでしまった。


「ほら今週大会みたいだし、、それに、、」


「部活の話はしないでって言ったよね」


「ごめん、、、」


彼に話を遮られ私はそのまま黙り込む。


やっぱり無理なのかな、、


ホームルームが終わり、いつものように教室の入口から栞里が私を呼びかける。


私は返事をしながら透を置いて部活に向かおうとする。


でもやっぱりこれだけは伝えよう、、


そう思った私は進みかけた足を止め透の方へ向き直る。


「私はあの約束まだ諦めてないから」


私はそれだけ伝え、そのまま部活に向かった。