ホームルームが終わると掃除をするものや部活に行くものなど教室の中は慌ただしく動き始めた。


僕はそんな人たちを他所に武田先生に言われた課題を机に出し始める。


正直言ってやりたくないがここで終わらせなければ次こそは絶対説教を食らうことになるので仕方がない。


「楓行くよー」


楓と同じ陸上部の栞里《しおり》が教室の入口から呼びかける。


楓は「今行く」と返事をしながら慌ただしく荷物を背負い始めた。


僕は課題を出す手を止め、楓が行ってしまう前に先程のことを謝ろうと口を開くが言葉が出てこない。


僕の悪いところである。


肝心な時に言葉にすることが出来ないのだ。


クソこんな簡単なことも言えないのかよ、、、


楓はそのまま栞里の所へ向かいかけるが途中で足を止めこちらを振り返った。


「私はあの約束諦めてないからね」


少し考えるような顔をしてからそれだけ僕に伝えて部活へと向かっていった。


僕は教室を出ていく楓の姿を黙って見送る。


約束、、何かしたことがあったっけ、、、