迷宮内に轟く怒りの叫び。何かな? と思って振り向けばそこには以前、見た覚えがある顔ぶれ。
みんなよーく知ってるよ、だって僕の初恋の人達だもん、特に三度目の人ー。凛とした佇まいながら怒りに染まった顔をして、僕を真っ直ぐに睨みつけている。
第一総合学園3年生、剣術部部長リンダ・ガル先輩。
オーランドくんのハーレムパーティーに所属していた彼女が、同じく取り巻きの生徒会副会長イスマさんと会計シフォンちゃんの二人を連れてお出まししていた。
シアンさんが唖然として尋ねる。
「リンダ・ガル……なぜここに? いえ、それ以前に何をしに?」
「知れたこと! そこな野良犬によって拉致されたオーランドを助け出しに来たのだ!!」
「…………?」
えぇ……? 何言ってるのかなこの人、僕がオーランドくんを拉致した? なんで?
とんでもない言いがかりにしばし呆然とする。見ればシアンさんもサクラさんもレリエさんも、戸惑うっていうかは? って顔をしているねー。
何かの行き違い、あるいは誤解があるんだろうか。
とりあえず僕はリンダ先輩に、事情を聞こうと話しかけた。
「…………どこからそんなデタラメを?」
「黙れ野良犬が、薄汚い鳴き声で吠えるな! 黙ってオーランドの居所だけ示せ、どうせスラムのどこぞかに幽閉しているのだろうがな!」
「最低……!!」
「オーランド様を返して!」
「……………………」
ああああ聞く耳一つ持ってくれないよおおおお!! どーしてそんなこと言うのおおおお!?
かつてなくひどいよ3人とも、なんでそこまで当たりキツイの!? って、愛しのオーランドくんを拉致してるって思い込んでるんだからそうもなるのかー。
にしたって辛辣にすぎる、完全に野良犬扱いで人間ですらないよー。これはいくらなんでもひどいよー、うううー。
「…………ふざけているのですか、リンダ・ガル。それにピノ副会長、オールスミス会計……!!」
「なんとなく予想はつくでござるが、本当に悪手を打つでござるな……清々しくもシンプルに苛つくでござるよ、その愚図ぶりに」
「いきなり現れてなんなの? この人達……! 大丈夫、杭打ちさん?」
落ち込む僕とは裏腹に、女性陣がいたくご立腹だよー。特に生徒会の二人もいるからかシアンさんのキレ方がガチだよー、怖いよー。
サクラさんも結構キテるみたいだし、威圧が吹き出してるしー。困惑しつつも僕を気遣ってくれるレリエさんが癒やしだよー。
ものすごく怒った顔で、リンダ先輩というか生徒会の二人を睨みつけるシアンさん。敬愛してるだろう生徒会長の本気の怒りに慄く彼女らに、そのまま疑問と叱咤が呈される。
「グレイタスくんならマーテルさんを助けるため、ともに他国に渡りました。冒険者であるならば事の顛末は知っているはずでは? 何よりなぜ杭打ちさんが彼を拉致したことになっているのか、はっきり言って理解に苦しみますね。馬鹿なのですか?」
「か、会長……会長は騙されているんです、そこの杭打ちに!」
「たしかな情報筋から私達は真実を掴んでいます! オーランド様の逃走は虚報で、真実は杭打ちが拉致しているのだと!!」
「助けたふりをしてマーテルは国に引き渡し、目障りなオーランドは拉致して監禁……! やはり貴様は冒険者などではない! いいや人ですらないゴミクズだ、今からこのリンダ・ガルが正義の名の下に成敗してくれる!!」
とんでもないデマを堂々と吹聴してくる3人組。でも至って本人達は真剣そのものなあたり、明らかに誰か悪意のある第三者に吹き込まれてるっぽいねー。
思えばあの時の茶番劇の際、リンダ先輩達の姿はなかった。となると人伝に事態を把握するしかできないわけだから……都合のいい話が耳に入れば、そのまま信じちゃうってわけか。
にしても誰がそんなわけの分からないデマを吹き込んだんだろー。心当たりが多すぎて絞り込めないよー。
マントと防止に隠れた奥で僕は目を閉じて記憶を探る。いかんせん僕にこの手の嫌がらせをしてくる連中なんて山程いたっておかしくないから特定が難しい。うーん、もうちょいヒントほしい!
「……………………開いた口が塞がらないとは、このことですね。あまりの愚かさに、秋と言わず今すぐ生徒会長を辞したくなってきました」
「オーランドはちっとはマシになりそうな気配があったのに、こっちは相変わらずのコレでござるか。相変わらず身分で人を見るあたり、本当に冒険者としての才に乏しいでござるなあ」
「黙れヒノモトの悪女が! 貴様が来てからオーランドはおかしくなったのだ、マーテルなどという得体の知れぬ女を助け、庇い……! その果てに杭打ちごときDランクに拉致されてしまった! あいつは15歳にしてAランクになった天才冒険者だぞ、負けるはずがないっ! そこのゴミが、何か卑怯な手を使ったに違いないのだっ!!」
「…………」
そろそろ幻滅してきたよー……僕の三度目と四度目と八度目の初恋がー……
フラレたらフラレたでせめて綺麗な思い出であってほしいよー、なんで自分から幻想を打ち砕きに来るのー……
ガックリくる。僕だけならまだしもさすがにサクラさんまで侮辱するのはないよ、あり得ない。
シアンさんもサクラさんもレリエさんもこれには呆れ果てて、真顔でリンダ先輩を見据えるばかりだったよー。
みんなよーく知ってるよ、だって僕の初恋の人達だもん、特に三度目の人ー。凛とした佇まいながら怒りに染まった顔をして、僕を真っ直ぐに睨みつけている。
第一総合学園3年生、剣術部部長リンダ・ガル先輩。
オーランドくんのハーレムパーティーに所属していた彼女が、同じく取り巻きの生徒会副会長イスマさんと会計シフォンちゃんの二人を連れてお出まししていた。
シアンさんが唖然として尋ねる。
「リンダ・ガル……なぜここに? いえ、それ以前に何をしに?」
「知れたこと! そこな野良犬によって拉致されたオーランドを助け出しに来たのだ!!」
「…………?」
えぇ……? 何言ってるのかなこの人、僕がオーランドくんを拉致した? なんで?
とんでもない言いがかりにしばし呆然とする。見ればシアンさんもサクラさんもレリエさんも、戸惑うっていうかは? って顔をしているねー。
何かの行き違い、あるいは誤解があるんだろうか。
とりあえず僕はリンダ先輩に、事情を聞こうと話しかけた。
「…………どこからそんなデタラメを?」
「黙れ野良犬が、薄汚い鳴き声で吠えるな! 黙ってオーランドの居所だけ示せ、どうせスラムのどこぞかに幽閉しているのだろうがな!」
「最低……!!」
「オーランド様を返して!」
「……………………」
ああああ聞く耳一つ持ってくれないよおおおお!! どーしてそんなこと言うのおおおお!?
かつてなくひどいよ3人とも、なんでそこまで当たりキツイの!? って、愛しのオーランドくんを拉致してるって思い込んでるんだからそうもなるのかー。
にしたって辛辣にすぎる、完全に野良犬扱いで人間ですらないよー。これはいくらなんでもひどいよー、うううー。
「…………ふざけているのですか、リンダ・ガル。それにピノ副会長、オールスミス会計……!!」
「なんとなく予想はつくでござるが、本当に悪手を打つでござるな……清々しくもシンプルに苛つくでござるよ、その愚図ぶりに」
「いきなり現れてなんなの? この人達……! 大丈夫、杭打ちさん?」
落ち込む僕とは裏腹に、女性陣がいたくご立腹だよー。特に生徒会の二人もいるからかシアンさんのキレ方がガチだよー、怖いよー。
サクラさんも結構キテるみたいだし、威圧が吹き出してるしー。困惑しつつも僕を気遣ってくれるレリエさんが癒やしだよー。
ものすごく怒った顔で、リンダ先輩というか生徒会の二人を睨みつけるシアンさん。敬愛してるだろう生徒会長の本気の怒りに慄く彼女らに、そのまま疑問と叱咤が呈される。
「グレイタスくんならマーテルさんを助けるため、ともに他国に渡りました。冒険者であるならば事の顛末は知っているはずでは? 何よりなぜ杭打ちさんが彼を拉致したことになっているのか、はっきり言って理解に苦しみますね。馬鹿なのですか?」
「か、会長……会長は騙されているんです、そこの杭打ちに!」
「たしかな情報筋から私達は真実を掴んでいます! オーランド様の逃走は虚報で、真実は杭打ちが拉致しているのだと!!」
「助けたふりをしてマーテルは国に引き渡し、目障りなオーランドは拉致して監禁……! やはり貴様は冒険者などではない! いいや人ですらないゴミクズだ、今からこのリンダ・ガルが正義の名の下に成敗してくれる!!」
とんでもないデマを堂々と吹聴してくる3人組。でも至って本人達は真剣そのものなあたり、明らかに誰か悪意のある第三者に吹き込まれてるっぽいねー。
思えばあの時の茶番劇の際、リンダ先輩達の姿はなかった。となると人伝に事態を把握するしかできないわけだから……都合のいい話が耳に入れば、そのまま信じちゃうってわけか。
にしても誰がそんなわけの分からないデマを吹き込んだんだろー。心当たりが多すぎて絞り込めないよー。
マントと防止に隠れた奥で僕は目を閉じて記憶を探る。いかんせん僕にこの手の嫌がらせをしてくる連中なんて山程いたっておかしくないから特定が難しい。うーん、もうちょいヒントほしい!
「……………………開いた口が塞がらないとは、このことですね。あまりの愚かさに、秋と言わず今すぐ生徒会長を辞したくなってきました」
「オーランドはちっとはマシになりそうな気配があったのに、こっちは相変わらずのコレでござるか。相変わらず身分で人を見るあたり、本当に冒険者としての才に乏しいでござるなあ」
「黙れヒノモトの悪女が! 貴様が来てからオーランドはおかしくなったのだ、マーテルなどという得体の知れぬ女を助け、庇い……! その果てに杭打ちごときDランクに拉致されてしまった! あいつは15歳にしてAランクになった天才冒険者だぞ、負けるはずがないっ! そこのゴミが、何か卑怯な手を使ったに違いないのだっ!!」
「…………」
そろそろ幻滅してきたよー……僕の三度目と四度目と八度目の初恋がー……
フラレたらフラレたでせめて綺麗な思い出であってほしいよー、なんで自分から幻想を打ち砕きに来るのー……
ガックリくる。僕だけならまだしもさすがにサクラさんまで侮辱するのはないよ、あり得ない。
シアンさんもサクラさんもレリエさんもこれには呆れ果てて、真顔でリンダ先輩を見据えるばかりだったよー。