結局、レリエさんの冒険者登録については本人の強い意志もあり、僕を保護者とする形で冒険者登録が行われた。
年齢的には完全に逆転してるんだけど、冒険者にはまあまああり得る現象だからあまり気にはされてないねー。ましてや僕は"杭打ち"、世間的には年齢不詳素顔不明の謎の存在だもの。その辺は特に問題視されることもなく、スムーズに冒険者になれた形だ。
「もっとも僕の抱える因縁から、変な言いがかりを誰かからつけられる可能性だってあるからねー。申しわけないけど最低限、自衛能力は持っといてもらいたいところなんだよねー」
「なるほど、それでシアン同様にトレーニングをさせたいわけでござるかー」
「急にとんでもない美女を連れてきた時はなんの冗談かと思ったぞソウマくん」
「どう考えても何かのドッキリにしか思えなかったぞソウマくん」
「なんでだよー!?」
ケルヴィンくんとセルシスくんの言葉に憤慨する。ひどいよー! なんで僕がきれーなおねーさん連れてきたら冗談かドッキリかになっちゃうんだよー!?
冒険者ギルドを訪ねた次の日の昼前、僕はギルド職員用の女子寮で一夜を過ごしたレリエさんを連れて第一総合学園の文芸部室にやって来た。
夏休みでも学園自体は開いていて、勉強したり部活動したりする学生がそれなりにいるのだ。
そして部外者のレリエさんでも、学生である僕が申請して同行していればある程度、自由に学園に入れたりする。
なので夏休み中、堕落を貪るつもり満々の僕の親友二人と、冒険者としてのトレーニングを積んでいる我らが団長と、そのコーチングをしている副団長が屯している文芸部室に連れてきたわけだねー。
先述の通り、最低限の自衛手段としてレリエさんにも戦えるようになってもらいたい。
そんな僕の頼みごとにサクラさんは納得して頷き、破顔一笑して応える。
「他ならぬソウマ殿の頼みで、しかも古代人の面倒を見るなんて滅多にない話でござる! どうせ暇でござるし喜んで引き受けるでござるよー」
「ほんと!? ありがとう、サクラさんー!」
「なあに、つまるところ新世界旅団の記念すべき一般団員、その第一号ってことでござろ? 未熟な団長ともども鍛える甲斐はあるでござるよ。シアンもそう思うでござるよねー?」
僕の保護下にある形で冒険者となったレリエさんは、必然的に僕が所属するパーティー・新世界旅団の新メンバーってことになる。
それもあって副団長のサクラさんとしてはテンションが上がってるみたいだった。しれっと団長のシアンさんに未熟って言いつつも同意を求めると、ジャージ姿で息を切らしたシアンさんが机に突っ伏しながらも呻く。
「そ……そう、ね……み、未熟と呼ばれるのは悔しいけど、団員が増えるのは、喜ばしいことね……」
「だ、大丈夫? シアンさんー。かなりハードなトレーニングでもしてたのー?」
「そうでもござらぬよー。朝一から校庭を全力で30周して、そこから拙者相手に打ち込みの練習をひたすらしてただけでござるから」
「えぇ……?」
「こちらからは一切反撃しておらぬでござる。めちゃくちゃ優しいメニューでござるよー」
優しいってなんだろうねー? いやまあ、サクラさんのこれも愛あるトレーニングだろうとは思うけどー。
それなりに場数を踏んだ冒険者なら普通にこなせるだろうけど、ギルドに登録して間もないシアンさんには相当キツイでしょうに。何よりひたすら全力ダッシュは鬼だよー。
剣術のほうは、彼女もお家の貴族剣術を仕込まれてるそうだし何よりサクラさんからの反撃がない段階だしでうまいことやるんだろうけど、前段階の全力ダッシュで校庭30周はほぼ拷問だ。
その時点でヘロヘロだろうに、そこから数時間ひたすら剣を振るったんならそりゃグロッキーにもなるよねー。
「は、ふ、ぅ……ふう。ええと、レリエさん、でしたか」
「は、はい」
「お見苦しいところをお見せしていますね……初めまして。私はあなたの保護者である"杭打ち"ことソウマ・グンダリが所属する冒険者パーティー・新世界旅団の団長シアン・フォン・エーデルライトと申します」
「同じく新世界旅団副団長のサクラ・ジンダイでござるよー。よろしくーござござー」
「あ……れ、レリエです! 下の名前は、すみません記憶を失っております。数万年前にあった、超古代文明と当世では呼ばれている時代からやって来た、古代人です。よろしくお願いします」
息を整え、貴族令嬢らしい優雅な振る舞いで名乗るシアンさん。ジャージ姿でもなお気高く美しいよー、かっこよくてかわいくて素敵だよー!
サクラさんも同様に、こっちはかるーいノリで名乗りを上げる。胸元の大きく空いたヒノモト服が色っぽいよー、いたずらっぽい笑顔が幼くも見えてかわいいよー!
美女二人の挨拶にレリエさんも慌てて名乗る。こちらも言わずとしれた美女さんで、雪のような肌に金髪が映えてお話に出てくる妖精さんのようだよー。
ああ……こんなきれーなおねーさん達の揃い踏みが見られるなんて、僕ってラッキーだなあ。しみじみ思うよー。
年齢的には完全に逆転してるんだけど、冒険者にはまあまああり得る現象だからあまり気にはされてないねー。ましてや僕は"杭打ち"、世間的には年齢不詳素顔不明の謎の存在だもの。その辺は特に問題視されることもなく、スムーズに冒険者になれた形だ。
「もっとも僕の抱える因縁から、変な言いがかりを誰かからつけられる可能性だってあるからねー。申しわけないけど最低限、自衛能力は持っといてもらいたいところなんだよねー」
「なるほど、それでシアン同様にトレーニングをさせたいわけでござるかー」
「急にとんでもない美女を連れてきた時はなんの冗談かと思ったぞソウマくん」
「どう考えても何かのドッキリにしか思えなかったぞソウマくん」
「なんでだよー!?」
ケルヴィンくんとセルシスくんの言葉に憤慨する。ひどいよー! なんで僕がきれーなおねーさん連れてきたら冗談かドッキリかになっちゃうんだよー!?
冒険者ギルドを訪ねた次の日の昼前、僕はギルド職員用の女子寮で一夜を過ごしたレリエさんを連れて第一総合学園の文芸部室にやって来た。
夏休みでも学園自体は開いていて、勉強したり部活動したりする学生がそれなりにいるのだ。
そして部外者のレリエさんでも、学生である僕が申請して同行していればある程度、自由に学園に入れたりする。
なので夏休み中、堕落を貪るつもり満々の僕の親友二人と、冒険者としてのトレーニングを積んでいる我らが団長と、そのコーチングをしている副団長が屯している文芸部室に連れてきたわけだねー。
先述の通り、最低限の自衛手段としてレリエさんにも戦えるようになってもらいたい。
そんな僕の頼みごとにサクラさんは納得して頷き、破顔一笑して応える。
「他ならぬソウマ殿の頼みで、しかも古代人の面倒を見るなんて滅多にない話でござる! どうせ暇でござるし喜んで引き受けるでござるよー」
「ほんと!? ありがとう、サクラさんー!」
「なあに、つまるところ新世界旅団の記念すべき一般団員、その第一号ってことでござろ? 未熟な団長ともども鍛える甲斐はあるでござるよ。シアンもそう思うでござるよねー?」
僕の保護下にある形で冒険者となったレリエさんは、必然的に僕が所属するパーティー・新世界旅団の新メンバーってことになる。
それもあって副団長のサクラさんとしてはテンションが上がってるみたいだった。しれっと団長のシアンさんに未熟って言いつつも同意を求めると、ジャージ姿で息を切らしたシアンさんが机に突っ伏しながらも呻く。
「そ……そう、ね……み、未熟と呼ばれるのは悔しいけど、団員が増えるのは、喜ばしいことね……」
「だ、大丈夫? シアンさんー。かなりハードなトレーニングでもしてたのー?」
「そうでもござらぬよー。朝一から校庭を全力で30周して、そこから拙者相手に打ち込みの練習をひたすらしてただけでござるから」
「えぇ……?」
「こちらからは一切反撃しておらぬでござる。めちゃくちゃ優しいメニューでござるよー」
優しいってなんだろうねー? いやまあ、サクラさんのこれも愛あるトレーニングだろうとは思うけどー。
それなりに場数を踏んだ冒険者なら普通にこなせるだろうけど、ギルドに登録して間もないシアンさんには相当キツイでしょうに。何よりひたすら全力ダッシュは鬼だよー。
剣術のほうは、彼女もお家の貴族剣術を仕込まれてるそうだし何よりサクラさんからの反撃がない段階だしでうまいことやるんだろうけど、前段階の全力ダッシュで校庭30周はほぼ拷問だ。
その時点でヘロヘロだろうに、そこから数時間ひたすら剣を振るったんならそりゃグロッキーにもなるよねー。
「は、ふ、ぅ……ふう。ええと、レリエさん、でしたか」
「は、はい」
「お見苦しいところをお見せしていますね……初めまして。私はあなたの保護者である"杭打ち"ことソウマ・グンダリが所属する冒険者パーティー・新世界旅団の団長シアン・フォン・エーデルライトと申します」
「同じく新世界旅団副団長のサクラ・ジンダイでござるよー。よろしくーござござー」
「あ……れ、レリエです! 下の名前は、すみません記憶を失っております。数万年前にあった、超古代文明と当世では呼ばれている時代からやって来た、古代人です。よろしくお願いします」
息を整え、貴族令嬢らしい優雅な振る舞いで名乗るシアンさん。ジャージ姿でもなお気高く美しいよー、かっこよくてかわいくて素敵だよー!
サクラさんも同様に、こっちはかるーいノリで名乗りを上げる。胸元の大きく空いたヒノモト服が色っぽいよー、いたずらっぽい笑顔が幼くも見えてかわいいよー!
美女二人の挨拶にレリエさんも慌てて名乗る。こちらも言わずとしれた美女さんで、雪のような肌に金髪が映えてお話に出てくる妖精さんのようだよー。
ああ……こんなきれーなおねーさん達の揃い踏みが見られるなんて、僕ってラッキーだなあ。しみじみ思うよー。