「ご、ごめんねー? つい声と体格で判断しちゃって……っていうか15歳でも冒険者ってやれちゃうものなんだ。あの、すごいね?」
「…………うううー」
必死に訴えた結果、僕がれっきとした男であることを認めてもらえたわけだけどー。それでも声と体格だけで女の子と勘違いされたのはショックすぎて呻くよー。
なんなら顔まで見せたのにまだ疑われてたからね、どうしろってんだよもうー。結局学生証見せちゃったし、僕の本名だって当たり前のようにバレちゃったものー。
「ソウマ・グンダリくん……か。本当にごめんなさい、失礼にも程があるわよね……無くしたのは記憶だけかと思ってたけど、どうやら配慮とかデリカシーとかも失くしちゃってるみたい。駄目ね私」
「……いえ、いいんです。男だって分かってもらえればそれでー。あと、僕というか"杭打ち"がソウマ・グンダリだってのは他言無用でお願いできますか?」
「もちろん! ……でも、隠すようなことなの?」
「いろいろありましてー」
オーランドくんがなんかこう、いい感じに更生しそうな気配を醸しながらもマーテルさんとイチャイチャ青春冒険旅を始めたわけで、そうなると別にもう僕も正体を隠さなくたっていいんじゃないの? って思われるかもだけど。
残念ながらそうもいかないんだよねー。まだまだ"杭打ち"=ソウマってのがバレると学園生活が大変なことになるだろう火種はいくつかあったりするし、引き続いて隠していかなきゃ行けないところなのだ。
そもそも"杭打ち"としてでない僕のことを求めてくれる誰かがいてくれればなーって思いもあって、あえて伏せている部分もあるから余計にバレるのは困るしー。
必要なのと僕個人の思惑とが重なってるから、積極的に隠したいことって言い換えてもいいかもしれないねー。
まあその辺を詳しく話す必要もないし、それじゃあサクッと今後について説明しますか。
「今からレリエさんを地上に送り、近くの町の冒険者ギルドにまでお連れします。ひとまず冒険者登録をする形で身分と所属を確定させますから、そうすればとりあえずの社会的な立ち位置は保証できますよ」
「本当!? 助かるわ、数万年も経ってたら私なんて、何者でもないものね。はあ、目が覚めてすぐ近くに、君みたいな優しくて素敵な男の子がいてくれて助かったわ、本当」
「…………えへ。いえいえそんなあ。えへへ」
褒められちゃったよーえへへ! 照れくさくて帽子の上から頭を掻く。
さっきフラレちゃった……っていうか僕の告白があまりにも唐突で、脈絡がない上に会って間もないから素でスルーされちゃったわけだけど。それはそれとしてレリエさんほどの美女に褒められると舞い上がっちゃうよー!
ウキウキしつつもレリエさんを、ギルドに連れて行くべく僕は動き出した。
残る一つの未開封な棺についても一応、触ってみたんだけどてんで動きやしない。レリエさんなら何か知ってるかとも思ったんだけど、首を振って残念そうに自分にも無理だって言う。
「コールドカプセルの開封は何かしら不具合が起きるか、もしくは定められた権限者による解除措置でしか開かないって知識があるの。私は権限者じゃないから無理ね」
「じゃあ、なんでレリエさんのカプセルは開いたんだろう?」
「触ってたら開いたのよね? たぶん変なところ触って不具合が起きたんじゃない? あ、だからってその棺に何か無茶なことしたら、下手すると中の人死ぬかもよ。オススメしないわ」
「しないよー」
人が死ぬかもしれないなら迂闊に触れないし、そもそも万一開封できたとして、そうなると僕は超古代文明絡みのトラブルの種をもう一個抱え込む羽目になる。それはゴメンだよー。
ただでさえ何故かここ半月くらいで、やたら古代人と関わっちゃってるんだ。そろそろあらぬ疑いを国あたりからかけられてもおかしくない。
そうなったらそうなったでぶち抜き上等だけど、まあ最終手段だしねー。
そんなわけで最後の棺はそのまま置いておくとして、僕はレリエさんを連れて部屋を出て迷宮に戻る。赤土でできた床と壁、そしてあちこち遠くに見えるモンスターを見て、彼女は何やら絶句しているみたいだ。
どうしたのかな?
「……これは」
「? どうしたの、レリエさん」
「…………い、いえ。あの、ここって本当に地下奥深く、なのよね?」
「そうだよー? 今のところ人類が到達できてる最深層の一歩手前、地下86階層だよー」
さっき説明したのにまた聞いてきたよ。首を傾げつつ再度今いるこの場所について説明すると、レリエさんはまたも顎に手を当て考え始めた。
ざっくばらんなお姉さんって感じだったけど、結構インテリ系な感じなのかな? メガネとか掛けたら似合いそう。
「プロジェクト……成功? したってことかしら。でもアレが普通に闊歩してるのは……っていうかソウマくん、あの化物達相手に全然ビビってないけど、平気なの?」
「え?」
「アレがなんなのか……あなたは、あなた達は理解してるの?」
これまた、不思議な質問をしてきたなー。
モンスターを指してアレは何?って聞いてくるレリエさんに、僕はただただ困惑していた。
「…………うううー」
必死に訴えた結果、僕がれっきとした男であることを認めてもらえたわけだけどー。それでも声と体格だけで女の子と勘違いされたのはショックすぎて呻くよー。
なんなら顔まで見せたのにまだ疑われてたからね、どうしろってんだよもうー。結局学生証見せちゃったし、僕の本名だって当たり前のようにバレちゃったものー。
「ソウマ・グンダリくん……か。本当にごめんなさい、失礼にも程があるわよね……無くしたのは記憶だけかと思ってたけど、どうやら配慮とかデリカシーとかも失くしちゃってるみたい。駄目ね私」
「……いえ、いいんです。男だって分かってもらえればそれでー。あと、僕というか"杭打ち"がソウマ・グンダリだってのは他言無用でお願いできますか?」
「もちろん! ……でも、隠すようなことなの?」
「いろいろありましてー」
オーランドくんがなんかこう、いい感じに更生しそうな気配を醸しながらもマーテルさんとイチャイチャ青春冒険旅を始めたわけで、そうなると別にもう僕も正体を隠さなくたっていいんじゃないの? って思われるかもだけど。
残念ながらそうもいかないんだよねー。まだまだ"杭打ち"=ソウマってのがバレると学園生活が大変なことになるだろう火種はいくつかあったりするし、引き続いて隠していかなきゃ行けないところなのだ。
そもそも"杭打ち"としてでない僕のことを求めてくれる誰かがいてくれればなーって思いもあって、あえて伏せている部分もあるから余計にバレるのは困るしー。
必要なのと僕個人の思惑とが重なってるから、積極的に隠したいことって言い換えてもいいかもしれないねー。
まあその辺を詳しく話す必要もないし、それじゃあサクッと今後について説明しますか。
「今からレリエさんを地上に送り、近くの町の冒険者ギルドにまでお連れします。ひとまず冒険者登録をする形で身分と所属を確定させますから、そうすればとりあえずの社会的な立ち位置は保証できますよ」
「本当!? 助かるわ、数万年も経ってたら私なんて、何者でもないものね。はあ、目が覚めてすぐ近くに、君みたいな優しくて素敵な男の子がいてくれて助かったわ、本当」
「…………えへ。いえいえそんなあ。えへへ」
褒められちゃったよーえへへ! 照れくさくて帽子の上から頭を掻く。
さっきフラレちゃった……っていうか僕の告白があまりにも唐突で、脈絡がない上に会って間もないから素でスルーされちゃったわけだけど。それはそれとしてレリエさんほどの美女に褒められると舞い上がっちゃうよー!
ウキウキしつつもレリエさんを、ギルドに連れて行くべく僕は動き出した。
残る一つの未開封な棺についても一応、触ってみたんだけどてんで動きやしない。レリエさんなら何か知ってるかとも思ったんだけど、首を振って残念そうに自分にも無理だって言う。
「コールドカプセルの開封は何かしら不具合が起きるか、もしくは定められた権限者による解除措置でしか開かないって知識があるの。私は権限者じゃないから無理ね」
「じゃあ、なんでレリエさんのカプセルは開いたんだろう?」
「触ってたら開いたのよね? たぶん変なところ触って不具合が起きたんじゃない? あ、だからってその棺に何か無茶なことしたら、下手すると中の人死ぬかもよ。オススメしないわ」
「しないよー」
人が死ぬかもしれないなら迂闊に触れないし、そもそも万一開封できたとして、そうなると僕は超古代文明絡みのトラブルの種をもう一個抱え込む羽目になる。それはゴメンだよー。
ただでさえ何故かここ半月くらいで、やたら古代人と関わっちゃってるんだ。そろそろあらぬ疑いを国あたりからかけられてもおかしくない。
そうなったらそうなったでぶち抜き上等だけど、まあ最終手段だしねー。
そんなわけで最後の棺はそのまま置いておくとして、僕はレリエさんを連れて部屋を出て迷宮に戻る。赤土でできた床と壁、そしてあちこち遠くに見えるモンスターを見て、彼女は何やら絶句しているみたいだ。
どうしたのかな?
「……これは」
「? どうしたの、レリエさん」
「…………い、いえ。あの、ここって本当に地下奥深く、なのよね?」
「そうだよー? 今のところ人類が到達できてる最深層の一歩手前、地下86階層だよー」
さっき説明したのにまた聞いてきたよ。首を傾げつつ再度今いるこの場所について説明すると、レリエさんはまたも顎に手を当て考え始めた。
ざっくばらんなお姉さんって感じだったけど、結構インテリ系な感じなのかな? メガネとか掛けたら似合いそう。
「プロジェクト……成功? したってことかしら。でもアレが普通に闊歩してるのは……っていうかソウマくん、あの化物達相手に全然ビビってないけど、平気なの?」
「え?」
「アレがなんなのか……あなたは、あなた達は理解してるの?」
これまた、不思議な質問をしてきたなー。
モンスターを指してアレは何?って聞いてくるレリエさんに、僕はただただ困惑していた。