揺れる部屋、と言ってもそこまで激しい揺れじゃない。馬車とかに比べてもビックリするくらい安心できる振動で、それだけでも古代文明の技術力ってやつが伺い知れるもんだよー。
ターミナルと呼ぶらしい、塔の中央制御エリアに向かっている僕達。その間にもみんな、それぞれに古代文明に今まさに触れていることに反応を示していた。
「しかし、まさか本当に部屋がそのまま動くか……我々の文明に置いても過去、そのような装置を作った形跡はあったと聞くが、それでも奴隷やらを使っての人力だった。だがこれは……」
「電力とやらによる完全自動。いやはや、今日一日で価値観がいろいろと破壊されてしまいますよ」
とりわけその中でも、ベルアニーさんやウェルドナーさんはもはやあまりの情報量にパンク寸前なのか茫然自失一歩手前って様子だよ。
他にもどちらかと言えば年長の人達のほうが、事態についていけずに困惑している人が多いように見える。
やっぱり長く生きている分、培ってきた常識ってやつが自分の感性や価値観に深く根ざしているからこういう新しすぎる──いや実際は古すぎるんだけど──ものを目の当たりにすると、どうしても戸惑っちゃうみたいだよー。
「うおおおお古代文明! 夢にまで見たロマンが今、そこに!!」
「レオン! 恥ずかしいから黙って騒いで!」
「わかったぁっ!! ………………………………!!」
「騒ぐなぁっ!!」
元々オカルト大好きなレオンくんなんかは大はしゃぎで、黙って騒ぐなんていう無茶振りを見事にこなして普通に叱られてるねー。
ああ、隣でマナちゃんがぴーぴー鳴いてる。本来ここにいるのは実力的にちょっと……な新人さん達だけど、ありあまる情熱は人一倍だ。
そうなるとそういうのこそ好ましく思うのが冒険者って人種なもんで、概ね好意的に見られていた。僕としても、なんだかホッコリするよー。
「レリエ、大丈夫でござるか?」
「体調が優れませんか? 相当な地下ですからね、多少空気も淀んでいる感じもしますし、無理もありません」
「大丈夫……ありがとうサクラ、団長。不思議とね、このエレベーターの動きとか見た目とか、明かりとかからでも、いろいろ思い出すことがあって。それで、ちょっと憂鬱になっただけだから」
一方で新世界旅団。レリエさんが俯いて疲れた様子なのを、シアンさんとサクラさんがしきりに気にしている。
彼女にとっては久しぶりに触れる故郷の技術だものね、何かしら想い出を想起するのも当然だよー。さらに地下、待ち受けるだろう今現在の古代文明の様子を見たらどうなっちゃうだろうか、ちょっと心配だ。
と、部屋の振動が収まった。同時に動いている感覚も止まり、扉が開く。
着いたんだね、ターミナルとかって場所に。レイアがまず、一歩を踏み出した。
「……着いた。ソウくんはここで待って不測の事態に待機。最悪の場合、すぐさまエレベーター? を動かして逃げられるようにね。代わりにリューゼちゃんとおじさん、私と一緒にこのエリアの制圧をするよ」
テキパキと指示を出す。まずは未知のエリアだ、戦力をもっての制圧と安全確保が最初だろう。
とはいえ全戦力投入なんてもちろんしない、むしろ最低限の人数の実力者のみでの偵察だ。僕らは多く非戦闘員を抱えているし、そもそもそんな強行軍するような局面でもないからねー。
というわけでレイアが呼びかけたのは僕を除いた元調査戦隊幹部格、レジェンダリーセブンの二人であるリューゼとウェルドナーさんだ。
本来なら僕もついて行ったほうがより確実なんだろうけど、何かあった時の逃走経路が現状エレベーターのみな以上、メンバーの中で唯一これを動かせる僕がここを離れるのは逃げ場がなくなることになって大変危険だ。
だからこそ次点の実力者なわけだね。
カインさんも加えてよかったのかもだけどそこはそれ、レイアのバランス感覚ってやつだ。こればかりは余人に計れるものでなし、大人しく従うべきだねー。
「了解ー。危なくなったらすぐ戻ってきてよー」
「やれやれ、それこそお化けが出てきたりやしないだろうな……真っ暗闇、かつての古代文明人による廃墟、そもそも滅ぼされた世界。条件的にはなんぞ出てもおかしくないのが嫌な話だ」
「ダハハハハ! なんだァおっさん、ビビリは相変わらずかァ! 出るわけねえだろそんなモン! よっしゃ行きましょうぜ姉御ォ、何が出て来ようとブチ殺してやりまさァ!!」
待つも向かうもとりあえず返事。僕、おじさん、リューゼがそれぞれ反応する。
実はお化け関係がまるで駄目なおじさんと、たとえお化けでも殺っちゃうぞーみたいなノリのリューゼが対照的だよー。レイアもそれには苦笑いしつつ、二人を伴ってエレベーターから真っ暗闇の外へと飛び出したのだった。
ターミナルと呼ぶらしい、塔の中央制御エリアに向かっている僕達。その間にもみんな、それぞれに古代文明に今まさに触れていることに反応を示していた。
「しかし、まさか本当に部屋がそのまま動くか……我々の文明に置いても過去、そのような装置を作った形跡はあったと聞くが、それでも奴隷やらを使っての人力だった。だがこれは……」
「電力とやらによる完全自動。いやはや、今日一日で価値観がいろいろと破壊されてしまいますよ」
とりわけその中でも、ベルアニーさんやウェルドナーさんはもはやあまりの情報量にパンク寸前なのか茫然自失一歩手前って様子だよ。
他にもどちらかと言えば年長の人達のほうが、事態についていけずに困惑している人が多いように見える。
やっぱり長く生きている分、培ってきた常識ってやつが自分の感性や価値観に深く根ざしているからこういう新しすぎる──いや実際は古すぎるんだけど──ものを目の当たりにすると、どうしても戸惑っちゃうみたいだよー。
「うおおおお古代文明! 夢にまで見たロマンが今、そこに!!」
「レオン! 恥ずかしいから黙って騒いで!」
「わかったぁっ!! ………………………………!!」
「騒ぐなぁっ!!」
元々オカルト大好きなレオンくんなんかは大はしゃぎで、黙って騒ぐなんていう無茶振りを見事にこなして普通に叱られてるねー。
ああ、隣でマナちゃんがぴーぴー鳴いてる。本来ここにいるのは実力的にちょっと……な新人さん達だけど、ありあまる情熱は人一倍だ。
そうなるとそういうのこそ好ましく思うのが冒険者って人種なもんで、概ね好意的に見られていた。僕としても、なんだかホッコリするよー。
「レリエ、大丈夫でござるか?」
「体調が優れませんか? 相当な地下ですからね、多少空気も淀んでいる感じもしますし、無理もありません」
「大丈夫……ありがとうサクラ、団長。不思議とね、このエレベーターの動きとか見た目とか、明かりとかからでも、いろいろ思い出すことがあって。それで、ちょっと憂鬱になっただけだから」
一方で新世界旅団。レリエさんが俯いて疲れた様子なのを、シアンさんとサクラさんがしきりに気にしている。
彼女にとっては久しぶりに触れる故郷の技術だものね、何かしら想い出を想起するのも当然だよー。さらに地下、待ち受けるだろう今現在の古代文明の様子を見たらどうなっちゃうだろうか、ちょっと心配だ。
と、部屋の振動が収まった。同時に動いている感覚も止まり、扉が開く。
着いたんだね、ターミナルとかって場所に。レイアがまず、一歩を踏み出した。
「……着いた。ソウくんはここで待って不測の事態に待機。最悪の場合、すぐさまエレベーター? を動かして逃げられるようにね。代わりにリューゼちゃんとおじさん、私と一緒にこのエリアの制圧をするよ」
テキパキと指示を出す。まずは未知のエリアだ、戦力をもっての制圧と安全確保が最初だろう。
とはいえ全戦力投入なんてもちろんしない、むしろ最低限の人数の実力者のみでの偵察だ。僕らは多く非戦闘員を抱えているし、そもそもそんな強行軍するような局面でもないからねー。
というわけでレイアが呼びかけたのは僕を除いた元調査戦隊幹部格、レジェンダリーセブンの二人であるリューゼとウェルドナーさんだ。
本来なら僕もついて行ったほうがより確実なんだろうけど、何かあった時の逃走経路が現状エレベーターのみな以上、メンバーの中で唯一これを動かせる僕がここを離れるのは逃げ場がなくなることになって大変危険だ。
だからこそ次点の実力者なわけだね。
カインさんも加えてよかったのかもだけどそこはそれ、レイアのバランス感覚ってやつだ。こればかりは余人に計れるものでなし、大人しく従うべきだねー。
「了解ー。危なくなったらすぐ戻ってきてよー」
「やれやれ、それこそお化けが出てきたりやしないだろうな……真っ暗闇、かつての古代文明人による廃墟、そもそも滅ぼされた世界。条件的にはなんぞ出てもおかしくないのが嫌な話だ」
「ダハハハハ! なんだァおっさん、ビビリは相変わらずかァ! 出るわけねえだろそんなモン! よっしゃ行きましょうぜ姉御ォ、何が出て来ようとブチ殺してやりまさァ!!」
待つも向かうもとりあえず返事。僕、おじさん、リューゼがそれぞれ反応する。
実はお化け関係がまるで駄目なおじさんと、たとえお化けでも殺っちゃうぞーみたいなノリのリューゼが対照的だよー。レイアもそれには苦笑いしつつ、二人を伴ってエレベーターから真っ暗闇の外へと飛び出したのだった。